■正四面体に手錠をはめる(その4)

 前原濶先生(元琉球大)が「正多面体に手錠をはめる」という面白い話をされたそうである.

 たとえば,立方体の12辺のうち,6辺の中点を通り,立方体の内部は通らない円形の手錠(円周)は,立方体からこの手錠を抜き取ることはできない.

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 正四面体の2組の相対する辺はねじれの位置にありますが,その中点を結ぶ直線はこれらの辺に直交します.稜の長さが√2の正四面体の対辺の中点を結ぶ直線の長さは1となります.

 1辺1の正四面体に対して,可能な下限は中央の切り口(ペトリー面)−1辺が1/2の正方形(ペトリー多角形)の対角線(長さ1/√2)を直径とする円であり,この円を正四面体から抜き取ることはできないことはすぐにわかります.

 しかし,正四面体の通り抜ける円形の穴の下限はこれではない.四面体を1辺の長さの90%の直径をもつ円形の穴を通すことができるなどは,やってみれば理解できるが,意外な事実ではないだろうか.

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[補]正多面体のこれらの正射影では,もとの正多角形の中点をうまく結んだ正多角形ができます.この正多角形をペトリー多角形,この面をペトリー面(赤道面)といいます.ペトリー面はもとの正多面体の対称面ではなく1種の回映面であって,対称面とは必ず交わる.

[1]正八面体のペトリー面

 1辺1の正八面体に対して,可能な下限は中央の切り口(ペトリー面)−1辺が1/2の正六角形(ペトリー多角形)の対角線(長さ1)を直径とする円である.

[2]立方体のペトリー面

 1辺1の立方体に対して,可能な下限は中央の切り口(ペトリー面)−1辺が1/√2の正六角形(ペトリー多角形)の対角線(長さ√2)を直径とする円である.

[3]正二十面体のペトリー面

 1辺1の正二十面体に対して,可能な下限は中央の切り口(ペトリー面)−1辺が1/2の正十角形(ペトリー多角形)の対角線を直径Dとする円である.

  D=1/2sin(π/10)=φ

[4]正十二面体のペトリー面

 1辺1の正十二面体に対して,可能な下限は中央の切り口(ペトリー面)−1辺がφ/2の正十角形(ペトリー多角形)の対角線を直径Dとする円である.

  D=φ/2sin(π/10)=φ^2</P>

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