■正三角形と整数距離(その5)

 ここで取り上げるのは,四面体についてのオイラーの問題「6辺の長さがa,b,c,d,e,fで,与えられた4面体の体積を求めよ」です.

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【3】オイラーの四面体公式(空間のヘロンの公式)

 4辺の長さがa,b,cで与えられた三角形,6辺の長さがa,b,c,d,e,fで与えられた四面体の場合は,

 2^2(2!)^2S^2=|0  a^2 b^2 1|

           |a^2 0  c^2 1|

           |b^2 c^2 0  1|

           |1  1  1  0|

  2^3(3!)^2V^2=|0  a^2 b^2 c^2 1|

            |a^2 0  d^2 e^2 1|

            |b^2 d^2 0  f^2 1|

            |c^2 e^2 f^2 0  1|

            |1  1  1  1  0|

となります.

 前者はおなじみの平面三角形のヘロンの公式にほかなりませんが,面積をS=Δとして,

(4Δ)^2=2a^2b^2+2b^2c^2+2c^2a^2−a^4−b^4−c^4

=(a+b+c)(−a+b+c)(a−b+c)(a+b−c)

ここで,2s=a+b+cとおくと

  Δ^2=s(s−a)(s−b)(s−c)

となり,ヘロンの公式が得られます.

 後者が空間のヘロンの公式であり,V=Δとして

  (12Δ)^2=a^2d^2(b^2+c^2+e^2+f^2−a^2−d^2)

         +b^2e^2(c^2+a^2+f^2+d^2−b^2−e^2)

         +c^2f^2(a^2+b^2+d^2+e^2−c^2−f^2)

       −a^2b^2c^2−a^2e^2f^2−d^2b^2f^2−d^2e^2c^2

 この空間のヘロンの公式は,オイラーの公式と呼ばれるものですが,

  (12×体積)^2=六斜術の両辺の差

に等しいということを主張しています.点Pが平面三角形ABCの平面上になく,4点が四面体の頂点をなすときの四面体の体積公式ですから,六斜術は四面体が平面上に退化して体積が0になった極限と解釈することができます.

 オイラーの公式は複雑であり,平面三角形のヘロンの公式のように因数分解できません.ただし,4面の面積が等しい等積四面体=4面が合同な鋭角三角形よりなる四面体(バンの定理)の場合,

  72Δ^2=(−a^2+b^2+c^2)(a^2−b^2+c^2)(a^2+b^2−

と因数分解した形で表されます.

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