■ガウス・ルジャンドルの定理(その8)
【4】ラグランジュの定理とラマヌジャンのリストの間に
x^2+y^2+z^2+w^2
から
Ax^2+By^2+Cz^2+Dw^2, A≦B≦C≦D
までの間を検討したいのであるが,容易にわかるようにA=1でなければならない.
そこで,A=B=C=1から始めたい.
答えはD=1,2,3,4,5,6,7になるのであるが,その定理がルジャンドルの4平方和定理「何種類かの4変数2次形式,たとえば,
x^2+y^2+z^2+mw^2 (m=1,2,3,4,5,6,7)
はすべての正の整数を表現することができる」である.
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【5】15の定理と整数の表現(驚くべき定理)
驚くべきことに,1996年,コンウェイとシュニーバーガーは正定値n元2次形式(変数nの数は任意とする)が1から15までのすべての整数を表せば,それがすべての正の整数を表すことを示した(15の定理).
もっと限定していえば
1,2,3,5,6,7,10,14,15
の9つの数を表現するならば,すべての正の整数を表現するという定理である.
15の定理は290予想のbest-possibleな解決であったが,この定理はルジャンドルの4平方和定理「何種類かの4変数2次形式,たとえば,
x^2+y^2+z^2+mw^2 (m=1,2,3,4,5,6,7)
はすべての正の整数を表現することができる」も内包していて,
1=1^2,2=1^2+1^2,3=1^2+1^2+1^2,5=2^2+1^2
6=2^2+1^2+1^2,7=2^2+1^2+1^2+1^2,10=3^2+1^2
14=3^2+2^2+1^2,15=3^2+2^2+1^2+1^2
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【6】まとめ
それらは
x^2+y^2+z^2+w^2からx^2+2y^2+5z^2+10w^2まで
すべてAx^2+By^2+Cz^2+Dw^2の形をしていて,54通りあることが知られている.
4変数2次形式では,たとえば,
2w^2+3x^2+4y^2+5z^2
は1だけを表すことができない.
w^2+2x^2+5y^2+5z^2
は15だけを表すことができない.
(2,3,4,5),(1,2,5,5)はラマヌジャンのリストには載っていない.ラマヌジャンのリストは20世紀初頭,ラマヌジャンによって,コンピュータの助けなしに特定された.しかし,不備があって(1,2,5,5)も含められてしまった.
w^2+2x^2+5y^2+5z^2
は15をそして15だけを表すことができないのである.
また,(A,B,C,D)の少なくともひとつは1であるから(2,3,4,5)はリストに含まれないのである.
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