■オイラー積(その13)

 オイラーが使っていた神秘的な等式

  1+2+3+4+5+・・・=−1/12

  1^2+2^2+3^2+4^2+5^2+・・・=0

  1^3+2^3+3^3+4^3+5^3+・・・=1/120

  1^4+2^4+3^4+4^4+5^4+・・・=0

では正数の無限級数の総和ですから無限大のはずですが負や零になっていて,一見して目がくらんでしまいます.

  ζ(s)=Σn^(-s)

はRe(s)<1では意味をなさなくなるというわけですが,一体,リーマン・ゼータ関数の解析接続はどうなっているのでしょうか?

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【1】オイラーの計算

 1749年にオイラーは発散級数を大胆に計算することによりこれらの結果をみいだしましたが,これらの式は現代数論では当然のことのように使われていて,リーマン・ゼータ関数の解析接続後にそれぞれ−1,−2,−3,−4での値として正当化されます.

 無限大になるところをうまく引き去って有限の値をだすことを物理学の用語で「繰り込み」といいますが,オイラーの計算の仕方を紹介すると

  φ(s)=1-1/2^s+1/3^s-1/4^s+・・・=(1-2^(1-s))ζ(s)

より

  φ(0)=-ζ(0),φ(-1)=-3ζ(-1),φ(-2)=-7ζ(-2),φ(-3)=-15ζ(-3)

また,

  f(x)=1+x+x^2+x^3+・・・=1/(1-x)

  g(x)=xdf(x)/dx=x+2x^2+3x^3+4x^4+・・・=x/(1-x)^2

  h(x)=xdg(x)/dx=x+2^2x^2+3^2x^3+4^2x^4+・・・=x(1+x)/(1-x)^2

より

  f(-1)=φ(0)=1/2,g(-1)=-φ(-1)=-1/4,h(-1)=-φ(-2)=0

これから

ζ(0)=-1/2,ζ(-1)=-1/12,ζ(-2)=0,・・・

となる.

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