■ほとんどピタゴラス数(その1)

 □+□=□?は2つの四角数を足してまた四角数になることがあるかというピタゴラスの問題です.(x,y,z)=(3,4,5),(5,12,13),(8,15,17)はそのような3数の例であり,一般解は

  x=k(m^2−n^2),y=2kmn,z=k(m^2+n^2)</P>

と表されます.

 ピタゴラスの問題□+□=□?を拡張する方向としては,

[1]一つには未知数の個数を増すこと(□+□+□=□あるいは一般に□+□+・・・+□=□を解くこと),

[2]もう一つには指数を大きくすること(a^3+b^3=c^3あるいは一般にa^n+b^n=c^nを解くこと)になります.前者の解としては,x1=−a1^2+a2^2+・・・+an^2,x2=2a1a2,x3=2a1a3,・・・,xn=2a1anとすれば(a1^2+a2^2+・・・+an^2)^2=y^2となります.

 後者は有名なフェルマーの問題でこれには整数解がないことが証明されています.ここでは,第3の問題

[3]□+□=□+1を解くこと

を考えます.

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(Q)△+△=△を満たす整数解はあるか?

(A)x(x+1)/2+y(y+1)/2=z(z+1)/2

 両辺を8倍して2を加えると

  (2x+1)^2+(2y+1)^2=(2z+1)^2+1

ここで,2x+1=X,2y+1=Y,2z+1=Zとおくと

  X^2+Y^2=Z^2+1

 すなわち,□+□=□+1?という問題に帰着されますが,□+□=□+1に対しては,

  (ab−cd)^2+(ad+bc)^2=(a^2+c^2)(b^2+d^2)

  (ab+cd)^2+(ad−bc)^2=(a^2+c^2)(b^2+d^2)

より,恒等式:

(ab−cd)^2+(ad+bc)^2=(ab+cd)^2+(ad−bc)^2がよく知られていて,ab−cd,ad+bc,ab+cdが奇数で,ad−bc=1を満たすものをみつける問題に帰着されたことになります.

 ad−bc=1なる行列

  J=[a,b]

    [c,d]

をn乗した行列を

  J^n=[A,B]

     [C,D]

とすると,常にAD−BC=1が成り立ちますから,ab−cd,ad+bc,ab+cdが奇数となるもの,たとえば,

  J=[3,2]

    [1,1]

からスタートして2乗,3乗,・・・していきます.

 すると,mod2でみて,

  [1,0]と[1,0]

  [1,1] [0,1]

が交互に現れますが,ab−cd,ad+bc,ab+cdが奇数となるのは

  [1,0]

  [1,1]

のみであることがわかります.

 そこで,

  [1,0]   (mod2)

  [1,1]

となるような任意の行列をひとつ選び,その奇数乗のときだけ採用することにして,

  X=2x+1=ab−cd,Y=2y+1=ad+bc,Z=2z+1=ab+cd

なるx,y,zを求めると,□+□=□+1となります.

 たとえば,</P>

  J=[3,2]→(X,Y,Z)=(5,5,7)

    [1,1]  5^2+5^2=7^2+1

  J^3=[41,30]→(X,Y,Z)=(1065,901,1395)

     [15,11]

  J^5=[571,418]

     [209,153]

→(X,Y,Z)=(206701,174725,270655)

など無限に解が得られます.

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