■無限級数の問題(その3)

 つぎに、幾何級数の無限個の項の和を考えてみましょう。

S=1/1+1/2+1/4+1/8+・・・

この式の両辺を2倍すると

2S=2+1/1+1/2+1/4+1/8+・・・

=2+S

したがって、S=2と計算することは自然に思えます。実際、幾何級数は2に収束します。ところが、次の無限個の項の和を考えてみます。

T=1+2+4+8+16+32+・・・

ここでも、両辺を2倍すると

2T=2+4+8+16+32+64+・・・

  =T−1

したがって、T=−1となり、正の無限級数の総和が負になって、一見して目がくらんでしまいます。パラドックスを引き起こした謎は、無限大∞は2T=T−1の解にも、あるいは2S=S+2の解にもなりうるという点に隠されています。これらは、有限の場合に成り立つ考えを無頓着に無限に適用するとばかげたまちがいを起こすことがあることという教訓でもあります。

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