■デュボア・レイモンの定数(その21)

 ベッセル関数は,惑星の運動に関するケプラー問題を解析的に表現しようと試みた天文学者・数学者ベッセルの研究にちなんでいる.惑星の軌道は太陽を中心とする楕円軌道

  r=1/(1+ecosθ)

を動くが,距離rと角度θが時間tの関数としてどのようになるか問うのが,いわゆるケプラー問題であって,ケプラー方程式は

  E−esinE=M

Eは離心近点離角,Mは平均近点離角,eは楕円の離心率で表される.

 

 ベッセル関数は三角関数に似た増減関数で,とくに,半整数次のベッセル関数は三角関数で表現できるわかりやすい関数である.

  J1/2=√(2/πx)sinx

  J-1/2=√(2/πx)cosx

しかし,三角関数の零点が一定の幅で規則正しく並ぶのに対して,任意の次数のベッセル関数の零点は単純にある値の整数倍とはいかない.

 ベッセル関数は,惑星の公転にはじまって,電磁波や光の回折,振動を表すのに適していて,物理学・工学分野で広く用いられている.一方,統計分野では,物理学・工学分野と異なり,変形ベッセル関数が用いられる.第1種n次の変形ベッセル関数はIn(x),第2種n次の変形ベッセル関数はKn(x)で表されるが,変形ベッセル関数はx>0において非負の関数で,それぞれ単調増加,単調減少する.とくに,半整数次の変形ベッセル関数は双曲線関数で表現される.

  I1/2=√(2/πx)sinhx

  I-1/2=√(2/πx)coshx

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x1をベッセル関数J1(x)のn番目の零点としたとき、Σ1/xnJ0(xn)=0.38479・・・

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