■直観幾何学研究会2025(その13)
この研究会では発表されなかったが、堀部和経先生からオイラーの多面体定理と関係する私信の報告があったことを申し添えておきたい。
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もし球を5角形と六角形からなる地図で敷き詰めたならば,サッカーボールのようにちょうど12個の5角形がなければならないという定理がある.
(Q)五角形と六角形からなる多面体には五角形が常に12個ある.
(A)n本の辺をもつfn枚の面とn本の辺が交わるvn個の頂点をもつ凸多面体について,
F=f3+f4+f5+・・・
2E=3f3+4f4+5f5+・・・
6F−2E≧12
に代入すると
3f3+2f4+f5−f7−2f8−3f9−・・・≧12
地図のように2つの辺に囲まれた領域まで許すことにすると,この数え上げ公式は
4f2+3f3+2f4+f5−f7−2f8−3f9−・・・=12
となり,係数が1ずつ小さくなり,それが0となるf6は式中に現れない.
このことからもf3,f4,f5の少なくとも1つは0でない→多面体には3角形か4角形面か5角形面が少なくとも1つなければならない,同様に,多面体の少なくとも1つの頂点は3次か4次か5次でなければならない→すべての頂点の次数が6以上となることは不可能であり,必ず次数が5以下の頂点をもつことが導き出される.これもオイラーが知っていた結果であるということである.
ここで,
(1)f2=f3=f4=0だとすると,少なくとも12個のf5がなければならないことになる(フラーレン).
(2)多面体の面がすべてf5とf6であるならば,f5=12(切頂二十面体など)
(3)多面体の面がすべてf4とf6であるならば,f4=6(切頂八面体など)
(4)多面体の面がすべてf3とf6であるならば,f3=4(切頂四面体など)
(5)多面体の面がすべてf4,f6,f8であるならば,f4=f8+6(大菱形立方八面体など)
(6)多面体の面がすべてf5,f6,f7であるならば,f5=f7+12(放散虫)
すなわち,球面を六角形と三角形で覆うとしたら,ちょうど4個の三角形が必要である.一般に,球面を六角形とn角形で覆うとしたら,ちょうどk=12/(6−n)個のn角形が必要である.n=3,4,5のとき,
k=12/(6−n)=4,6,12
であるが,これは正多面体の面数と同じである.これらの結果は極めて重要で,四色定理の証明の中核をなしている.
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(2)多面体の面がすべてf5とf6であるならば,f5=12(切頂二十面体など)であるが六角形の数には制限はないのであろうか?
結論だけを述べるが・・・
堀部の定理
f6=1以外はすべて構成することができる。
堀部先生は5,6,7角形だけを使って作るビーズ多面体を考案されているが、そこからの帰結であるという。証明が知りたい方は本人に連絡してみてほしい
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