■基本対称式(その13)
x=(x1,・・・,xn),y=(y1,・・・,yn)
x1+・・・+xn=y1+・・・+yn
x1+・・・+xk≧y1+・・・+yk,(k=1〜n−1)
が成り立つとき,x≧yと書くことにする.
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【1】分割とムーアヘッドの定理
非負整数の非増加列,すなわち,
λ=(λ1,λ2,・・・,λn)
λ1≧λ2≧・・・≧λn>0
なる整数列を分割(partition)という.
ここでは
λ1≧λ2≧・・・≧λn≧0,n=3
の場合を扱うことになるので注意してほしい.(≧−1とすることができれば調和平均も扱えるのだが,・・・)
分割はλ=(λ1,λ2,・・・,λn)でパラメトライズされるわけであるが,分割λに対して
|λ|=Σλi
を分割λのサイズ,λiが零でないiの総数をl(λ)と書いて分割λの長さという.
変数の数が3の場合,サイズ1の分割の集合は
S1={(1,0,0)}
サイズ2の分割の集合は
S2={(2,0,0),(1,1,0)}
サイズ3の分割の集合は
S3={(3,0,0),(2,1,0),(1,1,1)}
である.
分割の集合を求めるのは難しいことではなく,たとえば,変数の数が3の場合,サイズ6の分割の集合は
S6={(6,0,0),(5,1,0),(4,2,0),(4,1,1),(3,3,0),(3,2,1),(2,2,2)}
サイズ7の分割の集合は
S7={(7,0,0),(6,1,0),(5,2,0),(5,1,1),(4,3,0),(4,2,1),(3,3,1),(3,2,2)}
サイズ8の分割の集合は
S8={(8,0,0),(7,1,0),(6,2,0),(6,1,1),(5,3,0),(5,2,1),(4,4,0),(4,3,1),(4,2,2),(3,3,2)}
となる.
次に,分割の集合に自然な順序を定義したい.λ≧μとは
|λ|=|μ|
かつすべてのiに対して
λ1+・・・+λi≧μ1+・・・+μi
が成り立つこととする(i=1〜n).
すると
(2)>(1^2)
(3)>(21)>(1^3)
(4)>(31)>(2^2)>(21^2)>(1^4)
(5)>(41)>(32)>(31^2)>(2^21)>(21^3)>(1^5)
(6)>(51)>(42)>(41^2)>(321)>(31^3)>(2^21^2)>(21^4)>(1^6)
>(3^2)> >(2^3)>
となって|λ|≦5の場合には全順序(辞書式順序)であるが,|λ|≧6の場合は半順序となることが理解される.(λ1≧λ2≧・・・≧λn≧0として,(λ1,λ2,・・・,λn)のことを(λ1λ2・・・λn),(1111)のことを(1^4)と表している.)
3変数の場合に限ると,
(2)>(1^2)
(3)>(21)>(1^3)
(4)>(31)>(2^2)>(21^2)
(5)>(41)>(32)>(31^2)>(2^21)
(6)>(51)>(42)>(41^2)>(321)>(2^3)
>(3^2)>
となって,指標(4,1,1)と(3,3,0)の間には大小関係がないということになる.
3変数6次多項式
a^4bc+abc^4+ab^4c
と
a^3b^3+a^3c^3+b^3c^3
については大小関係が成立しないものが存在するのである.
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【2】カラマタの不等式
a1≧a2≧・・・≧an,b1≧b2≧・・・≧bn
a=(a1,・・・,an),b=(b1,・・・,bn)
a1+・・・+an=b1+・・・+bn
a1+・・・+ak≧b1+・・・+bk,(k=1〜n−1)
すなわち,a≧bと仮定すると
f(a1)+・・・+f(an)≧f(b1)+・・・+f(bn)
が成り立つ.
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