■対称行列と反対称行列(その7)

 行列jを変更して

  i=[0,−1,0, 0]  j=[0,0,−1, 0]

    [1, 0,0, 0]    [0,0, 0,−1]

    [0, 0,0,−1]    [1,0, 0, 0]

    [0, 0,1, 0]    [0,1, 0, 0]

  k=[0,0, 0,−1]  A=[a1,−a2,−a3,−a4]

    [0,0,−1, 0]    [a2, a1,−a4,−a3]

    [0,1, 0, 0]    [a3, a4, a1,−a2]

    [1,0, 0, 0]    [a4, a3, a2, a1]

とおくと,Aの上三角部分,下三角部分が歪対称(gij=−gji)になるので,形がスッキリすると思われます.

 ところが,実際にやってみると

  j^2=−1

は成り立つものの

  ij=k,jk=i,ki=j,

  ji=−k,kj=−i,ik=−j

が成立しません.なかなかうまくはいかないものです.

 なお,8元数:

  i^2=j^2=k^2=l^2=m^2=n^2=o^2=−1,

  i=jk=lm=on=−kj=−ml=−no,

  j=ki=ln=mo=−ik=−nl=−om,

  k=ij=lo=nm=−ji=−ol=−mn,

  l=mi=nj=ok=−im=−jn=−ko,

  m=il=oj=kn=−li=−jo=−nk,

  n=jl=io=mk=−lj=−oi=−km,

  o=ni=jm=kl=−in=−mj=−lk

では,乗法の結合法則も破れていて(a(bc)≠(ab)c),積の交換法則も結合法則も成り立ちませんが,それでも分配法則は成り立っています.行列は結合法則を満たすので,8元数は行列の一部とはみなせないのです.なお,結合法則が成り立たない数の体系(非結合的な体)としては,8元数,リー代数,ジョルダン代数の3つが代表的です.

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