■対称行列と反対称行列(その1)
E=[1,0] J=[0,−1]
[0,1] [1, 0]
とおく。
複素数平面でiが果たす役割と行列Jが果たす役割は等しいのですが,実際にこの行列を2乗すると
J^2=[1,0]=−E
[0,1]
となって,虚数のもっている性質を備えていることがわかります.
E,Jはそれぞれ対称行列(B’=B),交代行列(B’=−B)になっています.任意のn次正方行列Aに対して,
B=(A+A’)/2,C=(A−A’)/2
とおけば,Bは対称行列,Cは交代行列であって,
A=B+C
のような分解は一意で与えられます.
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積の交換法則が成り立たない代数として「行列」があります.
E=[1,0] J=[0,−1] J^2=−E
[0,1] [1, 0]
とおけば,
A=[a1,−a2]
[a2, a1]
は
A=a1E+a2J
と表されます.
A=a1E+a2J,B=b1E+b2J
の形の行列全体は加法および乗法に関して閉じています.
A+B=(a1+b1)E+(a2+b2)J
AB=(a1b1−a2b2)E+(a1b2+a2b1)J
乗法の可換性は成立しません.
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ここでは2次の反対称行列しか扱いませんでしたが、3次・4次・5次・・・にも面白い性質があるようです。
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