■ユークリッド原論と多重根号数(その35)

 k=√(m+√(m+√(m+√(m+・・・))))

の場合は,2次方程式の解の公式を使えば,m=k^2−kとすることができる.

  √(2+√(2+√(2+√(2+・・・))))=2

  √(30+√(30+√(30+√(30+・・・))))=6

 今回のコラムでは

  √(2+√(2+√(2+√(2+・・・))))=2

の別証を与えてみたい.

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【1】別証

 倍角の公式

  cos2α=2cos^2α−1

  2cosα=√(2+2cos2α)

と書き換えることができる.

 たとえば,α=π/32とおくと

  2cosπ/32α=√(2+2cosπ/16)

 =√(2+√(2+2cosπ/8))

 =√(2+√(2+√(2+2cosπ/4)))

 =√(2+√(2+√(2+√2)))

 α=π/2^nとして,n→∞とすると,

  √(2+√(2+√(2+√(2+・・・))))=2

が得られる.

 ヴィエタの無限積は

  2/π=√2/2・√(2+√2)/2・√(2+√(2+√2))/2・√(2+√(2+√(2+√2)))/2・・・

とも書くことができる.

[補]ウォリス積

  4/π=3^2/(3^2−1)・5^2/(5^2−1)・7^2/(7^2−1)・・・

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【2】ローメンの問題

(Q)45次多項式

  P(x)=45x−3795x^3+95634x^5−1138500x^7+7811357x^9−34512075x^11+105306075x^13−232676280x^15+384942375x^17−488494125^19+483841800x^21−378658800x^23+236030652x^25−117679100x^27+46955700x^29−14945040x^31+3764565x^33−740259x^35+111150x^37−12300x^39+948x^41−45x^43+x^45

とする.このとき,

  P(x)=√(2+√(2+√(2+√2)))

の根を求めよ.

(A)3倍角の公式

  sin3α=−4sin^3α+3sinα

  sin^5α=5/8・sin^5α−5/16sin^3α+1/16・sinα

の組み合わせを繰り返し使って,sin45αの関数を導く.そしてx=2sinαと置き換えれば,P(x)=2sin45αが得られる.

  2sin45α=2sin15π/32

 =2sin(π/2−π/32)

 =2cosπ/32α=√(2+2cosπ/16)

 =√(2+√(2+√(2+√2)))

を解くことで,

  45α=15π/32+2kπ

  α=π/96+2kπ/45

  x=2sinα=2sin(π/96+2kπ/45)

 なお,より一般化した問題

  Pn(x)=Σ(−1)^kn/(n−k)(n−k,k)x^n-2k

  n=0〜[n/2]

とすると

  Pn(2sinα)=2sin(nα)

が得られる.ローメンの問題はn=45としたものである.

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