■ユークリッド原論と多重根号数(その34)
数式と戯れる喜びを知っていたラマヌジャンは,平方根が入れ子状に無限に続く
√(1+2√(1+3√(1+4√(1+・・・))))
の値を求めよという問題をインド数学会誌に投稿している.
しかし,この問題に対する読者からの解答は寄せられず,結局答えたのは出題者であるラマヌジャン本人であったとのことである.
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【1】ラマヌジャンの問題
ラマヌジャンのクイズの前に,もし,
√(1+a√(1+a√(1+a√(1+・・・))))
の値はという問題であれば,
x=√(1+a√(1+a√(1+a√(1+・・・))))
とおくと,
√(1+ax)=x → x^2−ax−1=0
より,
x=(a+√(a^2+4))/2
を得ることができる.
a=1のとき,
√(1+√(1+√(1+√(1+・・・))))=φ (黄金比)
k=√(m+√(m+√(m+√(m+・・・))))
の場合は,2次方程式の解の公式を使えば,m=k^2−kとすることができる.
√(2+√(2+√(2+√(2+・・・))))=2
√(30+√(30+√(30+√(30+・・・))))=6
2次方程式:ax^2+bx+c=0の解の公式は次式で与えられる.
x=(−b±√(b^2−4ac))/2a
根号の中の式を平方数の差とみれば2項に因数分解することができ,以下のようにも表現できる.
x=m2/2m1±{(m2+2√m1m3)(m2−2√m1m3)}^1/2/2m1
ラマヌジャンは中学時代に根号の中の式を書き換えて
a(a+2)=a√(a+2)^2=a√(1+(a+1)(a+3))
=a√(1+(a+1)√(1+(a+2)(a+3))=・・・
を発見した.ここでa=1とすると求める値が3であることがわかる.
ラマヌジャンはさらにより一般的な恒等式
x+n+a=√(ax+(n+a)^2+x√(a(n+x)+(n+a)^2+(x+n)√・・・)))
を発見している.
ラマヌジャンのクイズは,ここでx=2,n=1,a=0とした場合である.
√(1+2√(1+3√(1+4√(1+・・・))))=3
また,x=2,n=1,a=1とすると
√(6+2√(7+3√(8+4√(9+・・・))))=4
になることがわかる.
√(1−√(1−1/2√(1−1/4√(1−1/8√1−・・・))))=1/2
3√(−6+3√(−6+3√(−6+3√(−6+・・・))))=−2
もラマヌジャンの式である.
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