■デカルトの円定理(その5)

(その2)において、

r3が半径∞の場合(つまり直線)、ピタゴラスの定理を使っても解けますが、デカルトの円定理を使うと

(1/r1+1/r2+1/r)^2=2(1/r1^2+1/r2^2+1/r^2)

1/r^2-2(1/r1+1/r2)1/r+2(1/r1^2+1/r2^2)-(1/r1+1/r2)^2=0

1/r^2-2(1/r1+1/r2)1/r+(1/r1^2+1/r2^2)-(2/r1r2)^2=0

1/r=(1/r1+1/r2)+{(1/r1+1/r2)^2-(1/r1^2+1/r2^2)+(2/r1r2)^2}^1/2

1/r=(1/r1+1/r2)+2/r1r2=(1/√r1+1/√r2)^2

1/√r=1/√r1+1/√r2が得られましたが、それを満たす実体が存在するようです。

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【5】レヴィ分布

 酔歩モデルの調べるための統計量として,平均初通過時間の概念が導入されます.原点を出発した酔歩者が別の地点(±X)に到達するまでの時間と定義されますが,別の見方をすれば酔歩者が±Xの範囲の中にとどまっていられる平均時間ともいえます.

 確率密度関数

  f(x)=1/√(2π)x^(-3/2)exp(-1/2x)

は一般的にはfirst passage time distribution of Brownian motionの名称で通っています.しかし,定まった訳語がないため,ここではレヴィ分布と呼ぶことにしました.レヴィ分布は自由度1のχ^2分布の逆数の分布として,あるいは半正規分布(自由度1のχ分布)においてxを1/√(x)とおいて得られます.また,この分布に関しては再生性が成り立ちます.

 その期待値E[x^a]はa>=1/2に対して無限大になりますから,コーシー分布と同様に平均値も分散ももちません.レヴィ分布の分散は発散しますが,4分位偏差sに関して

  s^(1/2)=s1^(1/2)+s2^(1/2)

が成り立ちます(stable distribution).すなわち,同一の2つのレヴィ分布にしたがう変数の和の分布の4分位偏差は個々の変数の4分位偏差の2倍となることが示されています.

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 コーシー分布以外の確率分布では,レヴィ分布が平均値をもたない分布として知られています.

 話は少し脱線しますが,2つの正規変数の和の分布は別の正規分布に従います.これを正規分布は加法に関して不変(invariant)であるといいます.このとき,和変数の分散σ^2は個々の変数の分散σ1^2とσ2^2の和と等しくなります.すなわち,

  σ^2=σ1^2+σ2^2

です.

 正規分布では標準偏差σを4分位偏差sで置き換えても

  s^2=s1^2+s2^2

は成立します.加算は2乗の世界(分散)で成立し,1乗の世界(標準偏差)では成立しません.このような加算が成り立つ分布は正規分布が唯一です.

 コーシー分布は標準偏差・分散をもたない分布をして知られていますが,quantile(fractile)の存在は保証されます.コーシー分布も加法に関して不変で,コーシー変数の和の分布は再びコーシー分布になります.そして,4分位偏差に関して

  s=s1+s2

すなわち,1乗の世界での加算が成り立ちます.

 同様にして,レヴィ分布については1/2乗の世界での加算

  s^(1/2)=s1^(1/2)+s2^(1/2)

が成り立ちます.以上まとめると

  s^k=s1^k+s2^k

 k=2 :正規分布

  k=1 :コーシー分布

  k=1/2:レヴィ分布

となります.

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