■積分可能な数(その16)

【2】ガンマ関数の例

 Γ(1/2)=√πは超越数ですが,ネステレンコの定理より,

  Γ(1/3),Γ(1/4)

も超越数であることが導かれます.変数sが有理数値のときのガンマ関数Γ(s)の値は周期と密接に関係しています.そのため,周期を代数的数とπのベキを除いて,有理数変数におけるガンマ関数の有理数ベキの積として表すという試みがあります.

 ガンマ関数(オイラーの第2種積分)は,

  Γ(x)=∫(0,∞)t^(x-1)exp(-t)dt

ベータ関数(オイラーの第1種積分)は,

  B(a,b)=∫(0,1)t^(a-1)(1-t)^(b-1)dt

によって定義されます.ベータ関数において,a=m/n,b=1/2とおき,t=x^nと置換すると,

  ∫(0,1)x^(m-1)/(1-x^n)^(1/2)dx=Γ(m/n)√π/nΓ(m/n+1/2)

したがって,

 (m,n)=(1,1)のとき,∫(0,1)1/(1-x^1)^(1/2)dx=2

 (m,n)=(1,2)のとき,∫(0,1)1/(1-x^2)^(1/2)dx=π/2

 (m,n)=(1,3)のとき,∫(0,1)1/(1-x^3)^(1/2)dx=Γ^3(1/3)/2^(4/3)3^(1/2)π

 (m,n)=(1,4)のとき,∫(0,1)1/(1-x^4)^(1/2)dx=Γ^2(1/4)/2^(5/2)π^(1/2)

が得られます.

 レムニスケート周率ωが,

  ω=Γ^2(1/4)/2^(3/2)π^(1/2)

と書けるいうわけです.

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