■ゼータ関数と多重ゼータ関数(その10)

【1】シンク関数とゼータ関数

 シンク関数は

  sinx/x=Σ(-1)^mx^2m/(2m+1)!

        =1−1/3!x^2 +1/5!x^4 −・・・

        =1−1/6x^2+1/120x^4−・・・

とベキ級数表示することが可能です.

 このことに関連して,高校の微積分の時間に,x→0としたとき,

  sin(x)/(x)→1 すなわち sin(x)→x

となることを教わったことを憶えておられる方も多いと思われますが,これがx=0のとき,

  sinc(0)=1

と定義する根拠になっています.

 さらに,シンク関数

  sinx/x=0

の解が±π,±2π,±3π,±4π,・・・となることを利用して,無限積表示すると

  sinx/x=(1-x^2/π^2)(1-x^2/4π^2)(1-x^2/9π^2)(1-x^2/16π^2)・・・

     =Π(1-x^2/k^2π^2)

 ここで,

  sinx/x=1-1/6x2+120x4-・・・  (ベキ級数表示)

  sinx/x=Π(1-x^2/k^2π^2)  (無限積表示)

     =1-1/π^2(Σ1/k^2)x^2+・・・

の両辺を比較することにより,

  Σ1/k^2=π^2/6,Σ1/k^4=π^4/90,・・・

が計算されます.

 Σ1/k^2はリーマンのゼータ関数ζ(2)に,Σ1/k^4はゼータ関数ζ(4)に相当します.すなわち,

  ζ(2)=π^2/6,ζ(4)=π^4/90,

以下,

  ζ(6)=π^6/945,ζ(8)=π^8/9450,・・・

と続きます.そして,解析接続の後,

  ζ(0)=-1/2,ζ(-1)=-1/12,ζ(-3)=1/120,ζ(-5)=-1/252,・・・

が得られます.

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  sinπx/πx=Σ(-1)^nπ^2n/(2n+1)!・x^2n=1+Σ(-1)^nζ(2,2,・・・,2)x^2n

となる

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