■ガウスの測量(その6)
宇宙は曲がった空間であると考えられているのですが,宇宙全体を見渡すと,もしかしたら想像もつかないような3次元多様体になっているのかも知れません.ガウスがホーエル・ハーゲン,ブロッケン,インゼルスベルクの3つの山頂からなる巨大な三角形の測量に基づいて,この疑問に答えようとしていたことは有名な逸話になっています.
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ひょっとしたら,三角形の内角の和はπより大きいかも・・・.1813年にガウスがハノーバー公国にある3つの山,ホーエル・ハーゲン,ブロッケン,インゼルスベルクの3つの山頂からなる巨大な三角形の測量に基づいて,その和が180°よりも15″角大きいという結論を得ました.
πより14.85秒(3600分の14.85度)大きなものとなったが、それは誤差範囲である
確かめられたπとの差は測定誤差に基づく近似の精度より小さく,何の結論にも至らなかったのですが,・・・
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測定誤差を取り除くためにはずっと大きな三角形とはるかに正確な測定が必要となる.宇宙は平坦か,球面的か,双曲的かという問題はまだ解決していないが,宇宙はかなり平坦であることは確かで,曲率は0でないにしても0からほんの少しずれているだけである.前節の三角測量からわかるように,必ず測定誤差が生ずるから,宇宙が平坦であることを証明するのは不可能である.
逆に,宇宙が湾曲していることを証明することは可能である.測定誤差を考慮したうえで,測定された曲率が非零ならば宇宙は湾曲していることになるからだ.
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ガウスは不正確なデータを扱うための最小2乗法を考案し、それは1801年の小惑星セレスの再発見につながった。また、その方法を正当化する中心極限定理を証明した。
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