■フェルマーの最終定理への道(その3)

フライは保型性の予想から、フェルマーの最終定理が導かれる可能性を示唆して世間を大いに驚かした。

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1985年,フライが,もし,a^n+b^n=c^nを満たす解があるとすると,楕円曲線

 y^2=x(x−a^n)(x+b^n)

が得られる.しかし,これは極めて異様なことと考えられた.

彼の楕円曲線は話がうますぎて、信じられない性質をもっていることに気づいたのである。

例えば、多項式

(x−a^n)(x+b^n)=x^2-x(a^n-b^n)-a^nb^n

の根の存在を決定する判別式

Δ=(a^n-b^n)^2+4a^nb^n

Δ^1/2=a^n+b^n=c^n

は完全なn乗式なのである。

楕円曲線の判別式は(a^nb^nc^n)^2で、これは整数nの2乗となっている。ところがレベルが2の保型形式は存在しないのである

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1986年,リベットはフライの状況証拠説を証明,

フライ曲線がモジュラー関数によってパラメライズされえない、すなわち,谷山・志村予想が正しければフェルマー予想も正しい

ことを意味する.いまやこの問題は谷山・志村予想を証明するだけという状況になった。

そして、1986年,ワイルズが谷山・志村予想を証明,したがって,フェルマー予想も正しい.

a^p+b^p=c^pを満たすような楕円曲線:

  y^2=x(x+a^p)(x−b^p)

が保型関数によってパラメトライズできないことの証明がフェルマーの最終定理の証明に繋がるのですが,楕円曲線の有理点の有無ではなく,楕円曲線そのものが存在しないことを示すのです.

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