■カタラン数とニュートンの一般化二項級数(その63)

【3】カタラン数の漸近挙動

  Cn=2nCn/(n+1)=(2n)!/n!(n+1)!

という数列と2^nという数列の増加の仕方を比較してみるために,比

  Cn/2^n

をとると,n→∞のときCn/2^n→∞となってしまうことがわかります.

 そこで,いささか天下り的ではありますが,比

  Cn/4^nn^(-3/2)

をとると,スターリングの漸近公式

  k!=√2π・k^(k+1/2)・exp(−k)=√(2πk)・(k/e)^k

から

  Cn/4^nn^(-3/2)→√π=1.77・・・

に収束することがわかります.

今回のコラムでは極限値√e=1.6487・・・に収束する問題を紹介します.

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 単位超球の中心を通る超平面による断面積を

  An=Vn-1・Vn^(1/n-1)

とおくと,

  An/An-2=Vn-1・Vn^(1/n-1)/Vn-3・Vn-2^(1/(n-2)-1)

ですから,n→∞のとき,

  An/An-2→(Vn/Vn-2)^(1/n)=(2π/n)^(1/n)→1

これより,次元を高くすれば断面積はある極限値に収束しそうです.n→∞のとき,Vn-1→0,Vn→0ですが,An=Vn-1・Vn^(1/n-1)の極限値を求めてみることにしましょう.

 Vn=π^(n/2)/(n/2)!より,

  An={(n/2)!}^(1-1/n)/{(n-1)/2}!

これを有名なスターリングの近似公式

  k!=√2π・k^(k+1/2)・exp(−k)

を使って書き直してみましょう.簡約化すると

  An→(n/2)^(n/2)/{(n-1)/2}^(n/2)

    ={n/(n-1)}^(n/2)

    ={(1+1/(n-1))^(n-1)}^(1/2)*{n/(n-1)}^(1/2)

    →e^(1/2)

したがって,極限値√e=1.6487・・・に収束することがわかります.

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