■学会にて(京大数理解析研,その271)

 逆にたどれば,正単体・正軸体・立方体系からは白銀比に関連した菱形多面体,正12面体・正20面体系からは黄金比に関連した菱形多面体ができるはずである.したがって,黄金比と白銀比の相補性をみたいのならば両者の混合を調べればよいと思う.しかし,両者の混合は当該論文には掲載されていない.菱形90面体はたまたま黄金比と白銀比の相補性をみることのできる多面体になっているのである(偶然の産物).

 さて,切頂四面体から菱形132面体(トランスタイプ)の構築,切頂六面体から菱形132面体(シスタイプ)の構築が可能であるようだ.いずれの場合も中心と各頂点を結ぶ基本ベクトルは全部で12本ある.このうちの3本を選んで平行六面体(菱面体)を作ると,組み合わせは全部で12C3=220通りあるが,それらから形成される平行六面体は数種類に限られる.重複するもの・退化するものがあるからだ.ともあれ,これらの平行六面体を組みあげていくことにより,菱形132面体が構築される.

 ここでは,切頂四面体の各頂点の座標から,上記の平行六面体の寸法と角度を割り出してみることにしたい.

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【1】切頂四面体の計量

 1辺の長さが1の正四面体の頂点を

  V1=(0,0,0)

  V2=(1,0,0)

  V3=(1/2,√3/2,0)

  V4=(1/2,√3/6,√6/3)

とすると,切頂点は

  (1/3,0,0),(2/3,0,0)

  (1/6,√3/6,0),(5/6,√3/6,0)

  (1/3,√3/3,0),(2/3,√3/3,0)

  (1/6,√3/18,√6/9),(5/6,√3/18,√6/9)

  (1/3,√3/9,2√6/9),(2/3,√3/9,2√6/9)

  (1/2,7√3/18,√6/9),(1/2,5√3/18,2√6/9)

 一方,

  aj=(1/2j(j+1))^1/2

とおくと,正四面体の基本単体の頂点は

  P0=(0,0,0)

  P1=(a1,0,0)=(1/2,0,0)

  P2=(a1,a2,0)=(1/2,√3/6,0)

  P3=(a1,a2,a3)=(1/2,√3/6,√6/12)

 切頂点からP3を差し引いて,z座標が正となるようにすると12本星ベクトルが得られる.

  (±1/6,√3/6,√6/12)

  (±1/3,0,√6/12)

  (±1/6,−√3/6,√6/12)

  (±1/3,−√3/9,√6/36)

  (±1/6,−√3/18,5√6/36)

  (0,2√3/9,√6/36)

  (0,√3/9,5√6/36)

 36をかけると

  (±6,6√3,3√6)

  (±12,0,3√6)

  (±6,−6√3,3√6)

  (±12,−4√3,√6)

  (±6,−2√3,5√6)

  (0,8√3,√6)

  (0,4√3,5√6)

 第1象限にあるもの

  (6,6√3,3√6)

  (12,0,3√6)

  (0,8√3,√6)

  (0,4√3,5√6)

を選んで計算すると

  cosθ=126/198,162/198,18/198,90/198

  cosθ=7/11,9/11,1/11,5/11

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