■学会にて(京大数理解析研,その258)

 菱形のすべての稜は2方向,菱形六面体のすべての稜は3方向,菱形十二面体では4方向,菱形三十面体では6方向を向いているのですが,菱形二十面体では5方向,菱形十二面体(第2種)では4方向を向いています.一般にすべての稜がn方向を向くとき,面数はf=n(n−1)となります.

 平行多角形のみで構成される多面体をゾーン多面体といいます.ゾーン多面体は無数にあるのですが,そのうち,ゾーン面は2枚ずつ増やせるので2(n−1)面,天井面と床面はそれぞれ(n−1)(n−2)/2面で

  2(n−1)+2(n−1)(n−2)/2=n(n−1)

という構成になっています.

  f=n(n−1)=2,6,12,20,30,42,56,・・・

  e=2n(n−1)

  v=n(n−1)+2

 合同な菱形だけでできている菱形多面体では,最大1頂点に5つの角が集まることが可能でしたが,2種類以上の菱形でできている菱形多面体では,頂点に6つ以上の角が集まることも可能になります.菱形132面体(トランス型・シス型)は3種類の菱形(細い菱形48枚,中間型36枚,太った菱形48枚)からなりますが,これら3種類の菱形は黄金・白銀菱形,黄金・白銀2乗菱形のどれに相当するのでしょうか.

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【1】n次元立方体の投影

 0次元の点がまっすぐ動くと1次元の線分になる.1次元の線分が平面の上で自分と直角の方向に同じ長さだけ動くと,2次元の正方形になる.2次元の正方形が3次元空間の中で自分と直角方向に1辺の長さだけ動くと,3次元の立方体となる.この3次元立方体が4次元空間の中で自分と直角方向に1辺の長さだけ動くと,同じ大きさの8個の立方体からなる4次元の立方体(正8胞体)になる・・・.

 こうしてn次元立方体ができあがりますが,高次元空間の立方体(±1,±1,±1,・・・,±1)を2次元平面や3次元空間へ射影するとその投影図の稜線はかなり混み入ったものになります,そこで,必要な稜線だけを抽出すると菱形多面体が得られます.

 たとえば,菱形12面体は4次元空間の立方体を3次元空間に射影して必要な稜線だけを抽出したものです.抽出の仕方を変えると正六角柱も得られます.同様に,菱形30面体は6次元空間の立方体を3次元空間に射影したもの,菱形90面体は10次元空間の立方体を3次元空間に射影したもの,菱形132面体は12次元空間の立方体を3次元空間に射影したものに相当する多面体です.

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