■学会にて(京大数理解析研,その242)
【4】ケプラー八角星の極値性
K・S多面体がケプラーの四面体のとき,立方体の中心c=(1/2,1/2,1/2)およびx=(x1,x2,x3)に対して,L∞ノルム
‖x−c‖∞=max(x1−1/2,x2−1/2,x3−1/2)<1/6
となる開立方体とケプラーの八角星は共通集合をもたないという重要な性質が知られている.
それに対して,K・S多面体がケプラーの四面体でないならば,軌道は
‖x−c‖∞<1/6
の中に入り込むことになる.この開立方体はそれに外接する開球
(x1−1/2)^2+(x2−1/2)^2+(x3−1/2)^2<3/6^2=1/12
で置き換えても正しい.
任意のK・S多面体に対して,この認容的な範囲を可能な限り大きくすることを試みると
‖x−c‖∞<1/6
が証明される.
2次元におけるケプラーの八角星の類似物は,頂点が単位正方形の辺の中点である正方形で,その場合,c=(1/2,1/2)およびx=(x1,x2)に対して,開正方形
‖x−c‖∞<1/4
あるいは開球
(x1−1/2)^2+(x2−1/2)^2<2/4^2=1/8
が最大認容的になる.
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ところで,スタインハウスが発見した閉六角形と閉八角形の2つの軌道に共通する特徴は立方体に内接する正四面体の辺上(ケプラーの八角星)を通るということである.これらは最大認容的開立方体
‖x−c‖∞<1/3
に巻きつく巡回軌道になっている.
問題をn次元に一般化すると,n次元立方体(n=2は正方形,n=3は立方体)とk次元K・S多面体(k=1,k=n−1,K・S多角形はk=1,K・S多面体はk=2)に対して
‖x−c‖∞<(1/2−k/2n)
n=2,k=1→1/2−k/2n=1/4
n=3,k=1→1/2−k/2n=1/3
n=3,k=2→1/2−k/2n=1/6
が成り立つことが証明されている.
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