■学会にて(京大数理解析研,その235)
今回のコラムでは「閉路」について考えてみたい.
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【1】長方形ビリヤード
[1](m,n)が公約数をもてば閉路は存在する.たとえば(m,n)=(15,10)で,(0,9)からスタートとした場合.
[2](m,n)が公約数をもたなければ必ず隅に到達するので閉路は存在しない.たとえば(m,n)=(15,11)で,(0,9)からスタートとした場合.
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【2】直方体リボン
[1](l,m,n)が公約数をもてば閉路は存在する.たとえば(l,m,n)=(6,8,4)で,(1,0,0)からスタートして,底面の(6,5,0)を通る場合.
[2](l,m,n)が公約数をもてない場合でも,閉路が存在するときがある.たとえば(l,m,n)=(6,8,5)で,(1,0,0)からスタートして,底面の(6,5,0)を通る場合.
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[2]の判定法はどうなっているのだろうか?
(m,n)の大きい方から小さい方を引くことを,変化がなくなるまで続ける.最終的に(1,0)になれば最初の2つの数は互いに素ということになる.
たとえば(42,33)→(3,0)であるから互いに素ではない.
たとえば(42,31)→(1,0)であるから互いに素である.
これを(l,m,ん)に一般化する.
大きい数から小さい2数を引くことを,変化がなくなるまで続ける.最終的に(1,0,0)または(1,1,−1)または(1,2,−1)になれば最初の3つの数は互いに直方体的に素ということになり,閉路をもたないことが判定できるのである.(それ以外の場合は閉路をもつ).
(9,26,15)→(1,2,−1)→閉路をもたない(隅に到達する)
(5,6,8)→(3,4,−3)→閉路をもつ
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