■カタラン数とニュートンの一般化二項級数(その48)

【1】中央二項係数

 チェビシェフは,漸近評価

  c1x/logx<π(x)<c2x/logx

を得るために,オイラーによって1740年に考案されたゼータ関数(のちにリーマンがこの名前を付けた)やガンマ関数を利用しましたが,ベルトランの仮説に対しては,ずっと簡単な証明がラマヌジャンやエルデシュ(1932年,19歳)によって与えられています.

 この結果を得るのには非常に巧みな組み合わせ的推論が用いられているのですが,エルデシュはまず二項係数の中央の値

  cn=2nCn=(2n)!/(n!)^2

を考えています.

 2nCnについては,さらに正確な評価を与える

  2^2n/(2√n)≦2nCn≦2^2n/√2n

などの評価式もしばしば使われます.また,スターリングの公式を使うとより精密な結果

  2nCn〜2^(2n)/√(πn)

が得られますが,この評価は数論,素数定理などとも関係しています.

===================================

【2】中央三項係数

  2nCn=4^n/√(πn)(1−1/(8n)+1/(128n^2)+5/(1024n^3)−21/(32768n^4)+O{n^-5))

に対して,中央三項係数

  (3n)!/(n!)^3

では

  ln(3n)!/(n!)^3=3nln3−lnn+1/2・ln3−ln(2π)=(1/36−1/4)/n+O(n^-3)

から

  3^3n+1/2/2πn(1−2/(9n)+2/(81n^2)+O{n^-3))

===================================