■カタラン数とニュートンの一般化二項級数(その33)

  B2k=(−1)^k-1 ・2(2k)!/(2π)^2k・ζ(2k)

すなわちベルヌーイ数Bn は,オイラーのゼータ関数

  ζ(2s)=Σ1/n^2s =1/1^2s +1/2^2s +1/3^2s +1/4^2s +・・・

の計算にも重要な役割を果たしていることを述べましたが,元来はベキ和の公式

  S(s,n)=Σk^s=1^s+2^s+3^s+・・・+n^s

を求めるために考案されたものです.

S1=Σk=n(n+1)/2

S2=Σk^2=n(n+1)(2n+1)/6

S3=Σk^3=n^2(n+1)^2/4

S4=Σk^4=n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n−1)/30

S5=Σk^5=n^2(n+1)^2(2n^2+2n−1)/12

S6=Σk^6=n(n+1)(2n+1)(3n^4+6n^3−3n+1)/42

S7=Σk^7=n^2(n+1)^2(3n^4+6n^3−n^2−4n+2)/24

ですから,左辺は,sが偶数のときn(n+1)(2n+1)(多項式)/(整数),1以外の奇数のときn^2(n+1)^2(多項式)/(整数)と書くことができます.また,Σk^sは(s+1)次の多項式になり,最高次数の係数は1/(s+1)です.

 ベルヌーイはこの式の列を見て,次のようなパターンを発見しました.それを一般式の形で書くと,Σk^sは

S(s,n)

=1/(s+1){B0n^(s+1)+(s+1,1)B1n^s+・・・+(s+1,s)Bsn}

=1/(s+1)Σ(K=0-s)(s+1,k)Bk(n+1)^(s+1-k)

とBn を含む式で表すことができます.

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 具体的に係数Bn を求めてみましょう.有名なベルヌーイ数列{Bn }の指数型母関数はx/(expx −1)で与えられます.すなわち,ベルヌーイ数は

x/(expx−1)

=B0/0!+B1 /1!x+B2 /2!x^2+B3 /3!x^3+・・・

=ΣBn x^n/n!

で定義される有理数で,係数Bn はベルヌーイ数と呼ばれます.容易にわかるようにlim(x→0)x/(expx −1)=1が成立します.

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 定義より,ベルヌーイ級数は,べき級数

(expx −1)/x=1+1/2!x1 +1/3!x^2 +1/4!x^3 +・・・

の反転級数と考えることができます.

expx =1+1/1!x+1/2!x2 +・・・

ですから

x/(expx −1)

=x/(x+x^2/2!+x^3/3!+・・・)

=1/(1+x/2!+x^2/3!+・・・)

=1-(1+x/2!+x^2/3!+・・・)+(1+x/2!+x^2/3!+・・・)^2-・・・

=1-1/2x+1/6x^2-1/30x^4+・・・

 これより,B0=1,B1 =−1/2で,x/(ex −1)−B1 /1!x=x/2・(ex +1)/(ex −1)は,偶関数ですから,奇数項は第一項以外は0で,偶数項はB2 =1/6,B4 =−1/30,B6 =1/42,B8 =−1/30,B10=5/66,B12=−691/2730,B14=7/6,B16=−3617/510,B18=43867/798であとは分子が急速に大きくなり,たとえば,B32=−7709321041217/510,B34=2577687858367/6です.分母は必ず6で割り切れます.

 ベルヌーイ数については,再帰公式

>  (B+1)^n-B^n=0

が成り立ちます.ただし,2項展開してからB^nをBnで置き換えることにします.ベルヌーイ数は数多くの魅惑的な整数論的特性をもっていて,正則素数の判定にも顔を出す興味深い数となっています.

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