■中心極限定理と重複対数の法則(その11)

【3】フルヴィッツの定理

 連続する2つの近似分数をan/bn,an+1/bn+1とすると,それらのうち一方は

  |α−a/b|<1/2b^2を満たす.

(証)α−an/bn,α−an+1/bn+1は反対符号で,anbn+1−an+1bn=(−1)^(n+1)であるから

  |α−an/bn|+|α−an+1/bn+1|

 =|an/bn−an+1/bn+1|

 =1/bnbn+1

 任意の実数α,βに対してαβ<(α^2+β^2)/2であるから

  1/bnbn+1<1/(2bn^2)+1/(2bn+1^2)

これより題意の結果が得られる.

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 連続する3つの近似分数をan/bn,an+1/bn+1,an+2/bn+2とすると,それらのうち少なくともひとつは

  |α−a/b|<1/√5b^2を満たす.

 この結果から「フルヴィッツの定理」

  |α−a/b|<1/√5b^2を満たす有理数a/bは無限に多く存在する.

を証明することができる.この定数√5は最良のもので,これより大きな数に置き換えることはできないが,αの連分数展開が有限個を除いてすべて1になる無理数を除外すれば,フルヴィッツの定理は√5の代わりに√8を用いても成り立つ.

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