■ランダムウォークの母関数と準超幾何関数(その44)
カタラン数の一般項は
Cn=2nCn/(n+1)=(2n)!/n!(n+1)!,
Cn=2n+1Cn/(2n+1)
あるいは
Cn=2nCn−2nCn-1=1,2,5,14,42,・・・
と表される.
Cn=2nCn/(n+1)=(2n)!/(n!)^2(n+1)
に対して,スターリングの漸近公式
k!=√2π・k^(k+1/2)・exp(−k)=√(2πk)・(k/e)^k
を適用すると,
Cn〜2^2n/√(nπ)(n+1)〜4^nn^(-3/2)/√π
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【1】1次元ランダムウォーク
ここでは,対称単純ランダムウォークの場合の再帰性,すなわち,いつかは原点に戻る確率(再帰確率)について考察することにします.
原点に戻るのはtが偶数の時に限られるので,2nステップのとき,左右に同じ回数nずつ移動する確率は
u2n=2nCnp^nq^n
で与えられます.特に,対称(p=q=1/2)のときは,
u2n=2nCn/2^(2n)
また,粒子が時刻2nではじめて原点に復帰する確率は
f2n=u2(n-1)/2n
で与えられます.この確率はカタラン数
Cn=2nCn/(n+1)=1,2,5,14,42,・・・
を用いて,
f2n=C(n-1)/2^(2(n-1))
と表されます.(カタラン数のはじめの4項1,2,5,14は初項1から始まって前項を3倍して1を引いたものに一致しますが,5項目以降は異なっています.)
再帰性を判定するのには,たとえば,粒子が出発した点にいる確率がt=∞においても有限の値を示すときは再帰的,また,これは出発した点にいる確率をt=0からt=∞まで積算した量が無限大に発散するときは再帰的と定義できます.前者は強い意味の,後者は弱い意味の粒子の局在を表しています.すなわち,単純ランダムウォークが再帰的であるための必要十分条件は,
Σu2n=∞
が成立することと考えられ,Σu2n<∞のときは再帰しないとします.
ここで,ウォリスの公式によって,
u2n=2nCn/2^(2n) 〜 (πn)^(-1/2)
が示されます.また,ゼータ関数
ζ(k)=Σ1/n^k
はk≦1のとき発散し,k>1のとき収束しますから,1次元の対称単純ランダムウォークは再帰的であることがわかります.スターリングの公式を使っても同じ結果が得られます.
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