■ランダムウォークの母関数と準超幾何関数(その33)

 次に,2次元ランダムウォークの母関数はどう表されるでしょうか? 同様に,unの母関数を

  U(t)=Σunt^n

とおくと,u2n={2nCn/2^(2n)}^2ですから,この級数の項比は

  u2(n+1)t^2(n+1)/u2nt^2n=(n+1/2)^2/(n+1)*t^2/(n+1)

 

 これより,級数U(t)はガウス型超幾何級数2F1(1/2,1/2,1,t^2)であると同定され,

  U(t)=2F1(1/2,1/2,1,t^2)=2/πK(t)

より第2種楕円積分,すなわち,楕円の周長と関係しているというわけです.

 

 また,

  U(1)=∞

より,2次元酔歩も再帰的であることがわかります.

 

 1次元酔歩の再帰確率に関する母関数は

  (1-t^2)^(-1/2)

2次元酔歩では母関数は楕円積分

  2/πK(t)

となりました.それに対して,3次元以上の酔歩の母関数は複雑で求められそうにありません.   Peter Griffin(1990): Accelerating beyond the third dimension: Returning to the origin in simple random walk, Math. Scientist 15, 24-35

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