■ランダムウォークの母関数と準超幾何関数(その31)
Montroll EW (1956): random walks in multidimensional spaces, especially on periodic lattices, J. Soc. Indust. Appl. Math. 4, 241-260
によると
(3次元格子) 配位数 再帰確率
単純立方格子 6 .340
対心立方格子 8 .282
面心立方格子 12 .256
ですから,配位数が大きいほど(すなわち移れる点の数が多いほど)再帰しにくくなることが直感的にも理解されます.
(高次元格子) 配位数 再帰確率
4次元超立方格子 8 .193
5次元超立方格子 10 .135
6次元超立方格子 12 .105
7次元超立方格子 14 .086
配位数8の対心立方格子は4次元超立方格子と,配位数12の面心立方格子は6次元超立方格子と配位数は等しいのですが,いくら配位数が同じであるとはいっても,面心立方格子の再帰確率は4次元超立方格子のそれよりも大きくなります.高次元では高層ビルのような構造になるので,同じ階に戻ることはあっても,なかなか原点までたどり着けないものと直感されます.大切なのは空間の次元であって,再帰性では次元がものをいうことが理解されます.
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