■ランダムウォークの母関数と準超幾何関数(その20)
単純ランダムウォークがd2≦ならば再帰的、d≧3ならば非再帰的であるとは
人間は酔っぱらっても偶然に帰路がみつかるが、鳥が酔っぱらうと永遠に迷子になる可能性があるということである。
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次に,2次元ランダムウォークの母関数はどう表されるでしょうか? 同様に,unの母関数を
U(t)=Σunt^n
とおくと,u2n={2nCn/2^(2n)}^2ですから,この級数の項比は
u2(n+1)t^2(n+1)/u2nt^2n=(n+1/2)^2/(n+1)*t^2/(n+1)
これより,級数U(t)はガウス型超幾何級数2F1(1/2,1/2,1,t^2)であると同定され,
U(t)=2F1(1/2,1/2,1,t^2)=2/πK(t)
より第2種楕円積分,すなわち,楕円の周長と関係しているというわけです.
また,
U(1)=∞
より,2次元酔歩も再帰的であることがわかります.
実は,小生,ある理由から2次元酔歩の母関数が第2種楕円積分になるのではないかと予想しておりました.この予想についても回をあらためて述べることにしたいと思います.
1次元酔歩の再帰確率に関する母関数は
(1-t^2)^(-1/2)
2次元酔歩では母関数は楕円積分
2/πK(t)
となりました.それに対して,3次元以上の酔歩の母関数は複雑で求められそうにありません.
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