■ランダムウォークの母関数と準超幾何関数(その17)
単純ランダムウォークがd2≦ならば再帰的、d≧3ならば非再帰的であるとは
人間は酔っぱらっても偶然に帰路がみつかるが、鳥が酔っぱらうと永遠に迷子になる可能性があるということである。
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【1】特性関数を用いた再帰確率の計算
さて,参考書籍:
Durrett: Probability: theories and examples
にある結論だけ示しますと,d次元超立方格子上のランダムウォークにおいては,
Σu2n=(2π)^(-d)∫(-π,π)Re(1-φ(t))^(-1)dt
φ(t):特性関数φ(t)
が成り立つというものです.
とくに,3次元の場合は,
Σu2n=(2π)^(-3)∫(-π,π)(1−1/3Σcost)^(-1)dt
=(√6/32π^3)Γ(1/24)Γ(5/24)Γ(7/24)Γ(11/24)
=1.51・・・
と評価され,したがって,
Σf2n=(Σu2n−1)/Σu2n=1−1/Σu2n
=0.34・・・
と計算できるとあります.
私は3次元ランダムウォークの母関数さえも思いつきませんでしたから,特性関数を用いた計算をみて,眼からウロコ状態になりました.
また,その文献には,志賀徳造「ルベーグ積分から確率論」共立出版にあるのと同じ漸近確率
u2n 〜 2^(1-d)d^(d/2)(πn)^(-d/2)
が掲げられていますから,今後の計算ではこの評価式を使用することにします.
なお,紹介された文献によると,4次元〜9次元超立方格子上のランダムウォークの再帰確率については,
Kondo and Hara (1987)
に掲げられているとのことでした.
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