■幾何分布と誕生日の問題(その30)

アメリカの数学者ポール・ハルモスによれば,n人が集まっていてそのうちの二人の誕生日が同じになる確率が50%を超えるためには,

  n>1.18×(365)^1/2=22.544

となることが必要であるという.

 もし1年が10^20日だとすると

  n>1.18×(10^20)^1/2〜1.18×10^10

を超えないと二人が同じ誕生日となる確率は50%を超えないことがわかる.これは世界の人口よりもはるかに多くなる.

 今回のコラムでは,この便利な概算方法がどのようにして見つけられたものなのか考察してみることにする.

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【Q1】自分の誕生日のパーティーに大勢の人を招待することにする.自分の誕生日がそのうちのひとりと同じのなる確率が50%を超えるには何人招けばよいか?

(A1)ひとりの誕生日が自分の誕生日と同じにならない確率は364/365.n人の客がいて,すべて自分の誕生日と同じにならない確率は(364/365)^n.

 自分の誕生日と同じ人がひとりはいる確率は

  1−(364/365)^n>0.5

より,n>253.この数は365/2よりかなり大きい.

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【Q2】客の中のふたりが同じ誕生日になる確率が50%を超えるには何人招けばよいか?

(A2)このクイズは数多くの本で取り扱われた有名なものである.d=365として,1番目の人と2番目の人が異なる誕生日である確率は1−1/dである.また,3番目の人が1番と2番の人と誕生日が異なる確率は,2番目の人は1番目の人と異なる日に生まれたとして,1−2/dである.

 したがって,n人全員が異なる誕生日である確率pnは,

  pn=(1−1/d)×(1−2/d)×・・・×(1−(n−1)/d)

となる.求めたい確率pは少なくとも2人同じ誕生日の人がいる確率であるから,

  p=1−pn>0.5

よりn=23.

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