■ランダムウォークの母関数と準超幾何関数(その8)

 それに対して,3次元以上の酔歩の母関数は複雑で求められそうにありませんでした.なお,d次元超立方格子上のランダムウォークにおいては,

  Σu2n=(2π)^(-d)∫(-π,π)Re(1-φ(t))^(-1)dt

    φ(t):特性関数φ(t)

ですから,とくに,3次元の場合は,

  Σu2n=(2π)^(-3)∫(-π,π)(1−1/3Σcost)^(-1)dt

     =(√6/32π^3)Γ(1/24)Γ(5/24)Γ(7/24)Γ(11/24)

     =1.51638606・・・<∞

となります.

 この計算はおそらく多変数の一般化超幾何関数?、準超幾何関数?を用いて行われるものと推測されますが,小生の力では歯がたちませんでした.いずれにせよ,この式も楕円積分とガンマ関数の関係を示すものになっていると思われます.

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調べてみたところ、弧の積分は1939年にワトソンによってはじめて計算され、楕円積分が元居られたとのことである。

β3=P(T<∞)とおくと、

ΣP(Sn=0)=1/(1-β3)となり、β3=0.34053733・・・である。

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【3】特性関数を用いた再帰確率の計算

  Durrett: Probability: theories and examples

にある結論だけ示しますと,d次元超立方格子上のランダムウォークにおいては,

  Σu2n=(2π)^(-d)∫(-π,π)Re(1-φ(t))^(-1)dt

    φ(t):特性関数φ(t)

が成り立つというものです.

 とくに,3次元の場合は,

  Σu2n

 =(2π)^(-3)∫∫∫((-π,π)dxdydz/(3−cosx−cosy−cosz

 =(2π)^(-3)∫(-π,π)(1−1/3Σcost)^(-1)dt

 =(√6/32π^3)Γ(1/24)Γ(5/24)Γ(7/24)Γ(11/24)

 =1.51638・・・

と評価され,したがって,

  Σf2n=(Σu2n−1)/Σu2n=1−1/Σu2n

     =0.34053・・・

と計算できます.

 また,

  Kondo and Hara (1987)

の文献からd次元格子上における酔歩の再帰確率pdを引用すると,

d pd d pd

1 1 13 .041919

2 1 14 .038657

3 .340537 15 .035869

4 .193201 16 .033458

5 .135178 17 .031352

6 .104715 18 .029496

7 .085844 19 .027848

8 .072912 20 .026375

9 .063447 30 .017257

10 .056197 40 .012827

11 .050455 100 .005050

12 .045789

 すなわち,3次元と4次元ランダムウォークの再帰確率は,正確には,

  0.340537329550999...

  0.193201673224984...

です.

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