■エルデシュと70(その23)

 数列{an}をa0=n,a1=(a0と互いに素な最小の数)

ai+1を(a0a1・・・ai)と互いに素な最小の数,ただし,増加数列ai+1>aiという規則に従って構成する.

[1]a0=30から始めると

a1=(30と互いに素な最小の数)=31

a2=(30・31と互いに素な最小の数)=37

a3=(30・31・37と互いに素な最小の数)=41

a4=(30・31・37・41と互いに素な最小の数)=43

a5=(30・31・37・41・43と互いに素な最小の数)=47

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30=2・3・5で、30未満の数のうち、30と互いに素な数は

7,11,13,17,19,23,29

で、すべて素数となっている。このように自分より小さい数の中の互いに素な数がすべて素数になっている数の中で30は最大である。

すなわち、n以下で、nと互いに素な整数がみな素数であるという性質を持つ最大のnが30である。2,3,4,6,8,12,18,24,30

30を特別なものとしている理由はそれが最初の3つの素数の積だということである。

しかし、最初の4つの素数の積である210では、たとえば143=11x13は210と共通因子を持たないが素数ではない。

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[2]a0=70から始めると

a1=(70と互いに素な最小の数)=71

a2=(70・71と互いに素な最小の数)=73

a3=(70・71・73と互いに素な最小の数)=79

a4=(70・71・73・79と互いに素な最小の数)=81・・・素数のベキ

a5=(70・71・73・79・81と互いに素な最小の数)=83

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この数列はnより大きい素数を全部含む。

すべてのak(k≧1)が素数か素数のベキとなる最大のnは70である。

このような性質を持つnは次の12個ある

3,4,6,7,8,12,15,18,22,24,30,70 (n=1,2は含まれない)

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(証)x>17/2に対して、区間(x,2x)に少なくとも3個の素数が含まれる

n>17^2=289に対して、x=1/2n^1/2とおくと、x=17/2、2x=17であるから、区間(1/2n^1/2,n^1/2)に少なくとも3個の素数が含まれる

3個の素数の積は(n^3/2)/8>nであるから、少なくとも1個の素数はnを割らない。

n^1/2>8,n>64

(1/2n^1/2<p1<n^1/2)、p1はnを割らない最大の素数とする

n>289に対して、x=2n^1/2とおくとx=34、2x=68であるから、区間(2n^1/2,4n^1/2)に少なくとも3個の素数が含まれる

n>16n^1/2であるから区間(2n^1/2,n/4)に少なくとも3個の素数が含まれるとしてよい

3個の素数の積は4n>nであるから、少なくとも1個の素数はnを割らない。

q1をn^1/2<q1<n/4<p1^2,q1はnを割らない最小の素数とすることができる

1/2n^1/2<p1<n^1/2<q1<n/4<p1^2

p1q1がaiだとするとn>289に対して、すべてのaiは素数または素数のベキとなる

そうでないとすると、n>289に対して、aiはn<ai<p1q1,(ai,p1q1)>1となる

aiが少なくとも異なる2つの素因数を持つ場合を考えればよい。

そうでなければ、aiは素数p1またはq1のベキとなるはずであるが、これは不可能である。

したがって、n>289に対して、aiは素数または素数のベキとなる。

70<n<289に対してはaiが2つの異なる素数の積となることを直接計算して確かめることができる・・・結局計算して確かめるしかないということのようである.

n>70に対して、少なくともaiの一つは異なる2つの素因数を持つ

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 1975年,エルデスとセルフリッジは連続する整数の積は整数のベキでないこと,すなわち

  y^q=x(x+1)・・・(x+p−1)

はすべてが>1である整数解(x,y,p,q)をもたないことを証明しています.

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 すなわち,

 連続する3個の自然数の積は3!=6の倍数である

 連続する4個の自然数の積は4!=24の倍数である

 連続するk個の自然数の積はk!の倍数である

に対して,エルデシュ・セルフリッジの定理とは

 連続する3個の自然数の積は平方数とはならない

 連続する4個の自然数の積は平方数,立方数とはならない

 連続するk(>1)個の自然数の積はある数のベキ乗数とはならない

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 この定理は次のように言い換えることができる.

 2項係数(n,k)はn≧3でk≠0,1,n−1,nならある数のベキにならない.

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