■亀とプロペラとソロバン珠(その4)

杉本晃久さんより興味深い連絡が届いた…

ついにaperiodic monotile(1種類の多角形で,非周期にしかタイル張りができない多角形タイル)が見つかったようです.それもペンローズタイルのような特別なマッチングルールをもない凹多角形です.

<注意>これは亀ではなく、帽子と呼ばれる非周期的タイル集合である。

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正三角形を3等分しただけなのに、なぜいままでこんな単純なのがが見つからなかったんでしょうね?  (佐藤郁郎)

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この13角形(もしくは近い形)で敷き詰め(タイル張り)できるかを考えた人が過去にいても不思議ではないと思います.

ですが,それを考えた人はおそらく敷き詰めできない(ようだ)と判断したのだと思います.

今回の論文(とそれに関係する資料)なしで,この13角形がごくわずかの範囲だけでなくもっと広い範囲で敷き詰めが可能(可能そう)だとわかるのは難しい気がします.通常ある形が敷き詰めできるかの確認は(PC画面上であっても)手作業で行うこと大半だと思うので,なにかルールが見抜けないと敷き詰め可能かを調べ尽くすのは厳しいです.

次に,この敷き詰めがちょっとできるけど無限にはできないような多角形,つまり有限のHeesch数をもつタイルを知っているかがポイントになると思います.

<参考>

Heesch's problem

https://en.wikipedia.org/wiki/Heesch%27s_problem

この13角形がもしかして有限のHeesch数をもつタイルであり,さらに現在知られているHeesch数を更新できる可能性があるとなると,さらに調査をしてみようとなると思います.

ですが,その調査は通常は容易ではありません.

著者の一人,Craigは近年,有限のHeesch数をもつタイルの調査を行っていて,そのためのプログラムも作っていました.それが,この13角形の調査でも活躍したようです.つまり,そのプログラムを使ってコロナが16ぐらいできること(Heesch数が16まで許すようなタイルであること)を確認できて,その後の調査・発見に繋がったようです.

以上のようないろいろな視点や技術と人が関わることで,この13角形が敷き詰め可能であり,それがaperiodic monotileと確認できたのだ思います(また「aperiodic」という証明が難しいと,秋山茂樹先生が前に話していました.著者のGoodman-Straussがその分野の第一人者だと思います).

論文をまだほとんど目を通していないので,以上のことはいろいろなところからかいつまんだ内容のため間違っている可能性があります.

ともかく,人の手だけでこの13角形が無限に敷き詰め可能かを確認するのが不可能なレベルだったので見つかっていなかったのだと思います. (杉本晃久)

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