■学会にて(京大数理解析研,その153)
数え上げの講演をもう1題。
ヨハネス・シェンケ先生は自作のプログラムでデルタ多面体の数え上げ問題に取り組まれた。
凸多面体に限定せず、かつ、正四面体を張り付ける形での拡大を認めない場合、元となる原始デルタ多面体は数種類に限定された。この条件で数え上げを行うと、
頂点数9の場合、4通り
頂点数10の場合、12通り、などなど
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【2】デカルトの定理(デルタ多面体の必要条件)
凸多面体の頂点で,そこに集まる面角の和は2πより小さくならなければなりません.その不足量を
δ=2π−Σ(面角)
とすると,不足量の和は4πに等しいというのが,デカルトの定理です.
Σδ=4π
(証)n辺をもつ面の数をfnとおく.f=Σfn,e=1/2Σnfn.また,n辺形の面角の和は(n−2)πであるから,
Σδ=2πv−Σ(n−2)πfn
=2πv−πΣnfn+2πΣfn
=2π(v−e+f)=4π
デルタ多面体では各頂点に3,4,5個の正三角形が集まるので,その頂点での不足量はπ,2π/3,π/3のいずれかになる.頂点にn個の正三角形が集まる頂点をvnとし,
a=Σv3,b=Σv4,c=Σv5
とおくと
πa+2πb/3+πc/3=4π
a+2b/3+c/3=4
となる.
すべての可能な整数解(a,b,c)のリストは,
a b c (v,e,f)
4 0 0 ○ (4,6,4)
3 1 1 ×
3 0 3 ×
2 3 0 ○ (5,9,6)
2 2 2 ×
2 1 4 ×
2 0 6 ×
1 4 1 ×
1 3 3 ×
1 2 5 ×
1 1 7 ×
1 0 9 ×
0 6 0 ○ (6,12,8)
0 5 2 ○ (7,15,10)
0 4 4 ○ (8,18,12)
0 3 6 ○ (9,21,14)
0 2 8 ○ (10,24,16)
0 1 10 ×
0 0 12 ○ (12,30,20)
であるが,v3とv5は隣接しないことよりa>0→a+b≧4,c>0→b+c≧6,a=1は不可能であること,(a,b,c)=(0,1,10)は不可能であることより,不可能なケースを除外することができる.
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