■学会にて(京大数理解析研,その152)

数え上げの講演をもう1題。

ヨハネス・シェンケ先生は自作のプログラムでデルタ多面体の数え上げ問題に取り組まれた。

凸多面体に限定せず、かつ、正四面体を張り付ける形での拡大を認めない場合、元となる原始デルタ多面体は数種類に限定された。この条件で数え上げを行うと、

頂点数9の場合、4通り

頂点数10の場合、12通り、などなど

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 すべての面が正三角形で構成されている立体をデルタ多面体(正三角面体)といいます.結論を先にいうと,正3角形ばかりを集めると4面体から20面体まで,18面体以外の8種類すべての偶数多面体ができあがります.そのうち,正4面体,正8面体,正20面体は正多面体にも分類されるのですが,デルタ多面体はそれらを含めて全部で8種類あることがわかりました.

 正多面体でない5個のうち,2個は重角錐(f=6,f=10)ですが,三角柱の正方形面に四角錐を貼り付けたもの(f=14),正方反角柱の正方形面に四角を貼り付けたもの(f=16),コクセターにより双子の12面体,ジョンソンにより歪両楔体と呼ばれるもの(f=12)があります.

 逆にいうと,もし多面体の各面が正三角形ならば8つの多面体の中のどれかひとつであるということになります.同様に,正方形1種類では立方体のみ,正5角形1種類では正12面体のみが得られ,正6角形以上の正多角形ばかりでは凸多面体はできません.結局,1種類の正多角形でできる凸多面体は合計10種類あることになります.

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【1】オイラーの定理(デルタ多面体の必要条件)

 3次元凸多面体の頂点,辺,面の数をそれぞれv,e,fとすると,

  v−e+f=2  (オイラーの多面体定理)

が成り立ちます.これは3次元立体について,0次元の特性数であるv,1次元の特性数であるe,2次元の特性数であるfの関係を述べたものと解釈され,最も美しい数学の10大定理の1つに挙げられるものです.

 また,正則な多面体とはその面が正多角形で,どの面にも同じ数の面が集まっている凸多面体のことで,正多面体では

  pf=2e,qv=2e

でしたが,正則とは限らない一般の多面体では

  Σpi=p1+・・・+pf=2e,

  Σqi=q1+・・・+qv=2e

となります.

 pi=3,3≦qi≦5ですから

  3f=2e   (fは偶数)

  3v≦2e≦5v

これをオイラーの多面体定理

  v−e+f=2

に代入すると

  6≦e≦30

 これより

  4≦f≦20,(3≦v≦20)

が得られます.3f=2eよりfは偶数ですから,4面体から20面体までの偶数多面体がデルタ多面体の候補となります.

   f      e      v

   4      6      4

   6      9      5

   8     12      6

  10     15      7

  12     18      8

  14     21      9

  16     24     10

  18     27     11

  20     30     12

 3次元では,オイラーの多面体公式

  v−e+f=2

以外に

  f≦2v−4,v≦2f−4

を満たせばよいことが証明されています(シュタイニッツ,1906年).デルタ多面体では,これ以上面数fを大きくできないという

  f≦2v−4

の上限に達していることも理解されます.

 なお,これらの式の頂点vと面fの対称性により,f面凸多面体とv点凸多面体は同数になるのですが,「4面体は4つの頂点と4つの面から構成されるので,頂点数を加えていうと,4点4面体である.5面体には4角錐(5点5面体)と3角柱(6点5面体)がある.6面体には5点6面体が1種類,6点6面体,7点6面体,8点6面体が2種類ずつの合計7種類ある.以下,7面体には34種類,8面体には257種類,9面体には2606種類ある.

 見方を変えて,凸多面体を頂点数で分類すると,4点多面体は1種類,5点多面体は2種類,6点多面体は7種類,7点多面体は34種類,8点多面体は257種類,9点多面体は2606種類,10点多面体は32300種類ある.」・・・両者で同じ数値が出現していることに気づかれたかと思います.

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