■学会にて(京大数理解析研,その150)

数え上げの講演をもう1題。

ヨハネス・シェンケ先生は自作のプログラムでデルタ多面体の数え上げ問題に取り組まれた。

凸多面体に限定せず、かつ、正四面体を張り付ける形での拡大を認めない場合、元となる原始デルタ多面体は数種類に限定された。この条件で数え上げを行うと、

頂点数9の場合、4通り

頂点数10の場合、12通り、などなど

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【1】デルタ多面体(必要条件)

 3次元凸多面体の頂点,辺,面の数をそれぞれv,e,fとすると,

  v−e+f=2  (オイラーの多面体定理)

が成り立ちます.これは3次元立体について,0次元の特性数であるv,1次元の特性数であるe,2次元の特性数であるfの関係を述べたものと解釈され,最も美しい数学の10大定理の1つに挙げられるものです.

 また,正則な多面体とはその面が正多角形で,どの面にも同じ数の面が集まっている凸多面体のことで,正多面体では

  pf=2e,qv=2e

でしたが,正則とは限らない一般の多面体では

  Σpi=p1+・・・+pf=2e,

  Σqi=q1+・・・+qv=2e

となります.

 pi=3,3≦qi≦5ですから

  3f=2e   (fは偶数)

  3v≦2e≦5v

これをオイラーの多面体定理

  v−e+f=2

に代入すると

  6≦e≦30

 これより

  4≦f≦20,(3≦v≦20)

が得られます.3f=2eよりfは偶数ですから,4面体から20面体までの偶数多面体がデルタ多面体の候補となります.

   f      e      v

   4      6      4

   6      9      5

   8     12      6

  10     15      7

  12     18      8

  14     21      9

  16     24     10

  18     27     11

  20     30     12

 3次元では,オイラーの多面体公式

  v−e+f=2

以外に

  f≦2v−4,v≦2f−4

を満たせばよいことが証明されています(シュタイニッツ,1906年).デルタ多面体では,これ以上面数fを大きくできないという

  f≦2v−4

の上限に達していることも理解されます.

 なお,これらの式の頂点vと面fの対称性により,f面凸多面体とv点凸多面体は同数になるのですが,「4面体は4つの頂点と4つの面から構成されるので,頂点数を加えていうと,4点4面体である.5面体には4角錐(5点5面体)と3角柱(6点5面体)がある.6面体には5点6面体が1種類,6点6面体,7点6面体,8点6面体が2種類ずつの合計7種類ある.以下,7面体には34種類,8面体には257種類,9面体には266種類ある.

 見方を変えて,凸多面体を頂点数で分類すると,4点多面体は1種類,5点多面体は2種類,6点多面体は7種類,7点多面体は34種類,8点多面体は257種類,9点多面体は266種類,10点多面体は32300種類ある.」・・・両者で同じ数値が出現していることに気づかれたかと思います.

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