■学会にて(京大数理解析研,その149)
【1】タングラム
タングラムとは,正方形を直線で7枚の板(直角二等辺三角形大2,中1,小2,正方形1,平行四辺形1)に切って,それを組み合わせていろいろな図形を作るパズルである.
[Q]タングラムの7枚を全部並べてできる凸多角形は何種類あるか?
[A]この問題は三角形1,四角形6,五角形2,六角形4の計13種類あることが証明されている.
タングラムは中国生まれとされるが,わが国でもよく似たものがあり,長方形を7枚の板(直角二等辺三角形2,直角台形大1,中1,小2,ホームベース型五角形1)に切った「ラッキー・パズル」が市販されている.ラッキー・パズルでは四角形4,五角形3,六角形6,八角形1の14種類作れることは確かであるが,それですべてかどうかは証明されていない.挑戦してみませんか?
私も子供の頃,ラッキー・パズル(はなやま玩具)でよく遊んだものである.影絵が簡単なほど難しくなるが,幼児であれば自分自身で新しい影絵を考案して楽しむこともできる.実際,わが家の子供達は専らデザインを応募しては採用されることを楽しんでいるようである.
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【2】アルキメデスのストマキオン
ピース数をタングラムの2倍の14片とし,14片の三角形,四角形,五角形を並べ替えて正方形にする知恵の板がアルキメデスのストマキオンである.ストマキオンとは腹痛の意味で,腹が痛くなるほど解くのが難しいパズルなのである.
[Q]14片のピースを組み合わせて,正方形に並べる方法はいく通りあるか
[A]14片で何通りの正方形が作れるかというと,実に17152通りの作り方があるという.別の解説では536種類と書かれている
アルキメデスのストマキオンは「パリンプセスト」に収蔵されている.どうしても見劣りがし,だれも気に留めない論文であるが,アルキメデスは与えられた問題に対して可能な解がいくつあるかを計算しようとしていたのではないかと考えられている.14個のピースを正方形に配置するやり方が何種類あるのかを確定するという挑戦は,古代の組み合わせ論,有限数学(離散数学)の問題だったというわけである.
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