■学会にて(京大数理解析研,その148)

今日の数学者が群論を説明するためにルービック・キューブを使うように,アルキメデスの時代から数学者はパズルの解析にいそしんでいたとは驚きであろう.

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【2】アルキメデスのストマキオン

 ピース数をタングラムの2倍の14片とし,14片の三角形・四角形・五角形を並べ替えて正方形にする知恵の板がアルキメデスのストマキオンである.ストマキオンとは腹痛の意味で,腹が痛くなるほど解くのが難しいパズルなのである.

[Q]14片のピースを組み合わせて,正方形に並べる方法はいく通りあるか

[A]14片で何通りの正方形が作れるかというと,実に17152通りの作り方がある.対称性を考慮に入れると536通りの解があるという.

 アルキメデスのストマキオンは「パリンプセスト」に収蔵されている.どうしても見劣りがし,だれも気に留めない論文であるが,アルキメデスは与えられた問題に対して可能な解がいくつあるかを計算しようとしていたのではないかと考えられている.古代の組み合わせ論,有限数学(離散数学)というわけで,アルキメデスの時代から数学者はパズルの解析にいそしんでいたのである.なお,パリンプセプトC写本は1998年クリスティーズの競売で220万ドルで落札された.

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