■学会にて(京大数理解析研,その143)

ことしも京大数理解析研に参加。講演の拝聴してもよくわからないのであるが、すこしでもわかろうと奮闘している。

私の印象に残った演題をいくつかレポートしてみたい。

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山岸義和先生(龍谷大)は正四面体・正5胞体における小谷のアリの問題を取り上げた。いくつか予備知識を入れておきたいのであるが・・・

 立方体[0,1]^3の原点から最も遠い点は(1,1,1)である。

内部空間の直径は√3

表面空間の直径は√5

沿辺空間の直径は3

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立方体を2つ重ねた直方体(1x1x2)の場合

内部空間の直径は(0,0,0)-(1,1,2)で√6

沿辺空間の直径は4であるが

表面空間の直径は(1,1,2)に対するものではなく(3/4,3/4,2)が最も遠い点であるという。

直観に反するこの結果は、小谷(善行)のアリのパラドックスと呼ばれている

(3/4)^2+(2+3/4)^2=(9+121)/16=130/16

(1+3/4)^2+(2+1/4)^2=(49+81)/16=130/16

√8.125

それに対して、(1,1,2) までの表面空間の直径は√8である。(3ではない)

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立方体をn個重ねた直方体(1x1xn)の場合

内部空間の直径は(0,0,0)-(1,1,n)で√(n^2+2)

沿辺空間の直径は(n+2)であるが

表面空間の直径は(1,1,n)に対するものではなく(x,x,n)が最も遠い点であるという。

x^2+(n+x)^2=(1+x)^2+(n+1-x)^2

2nx=-2nx+2(n+1)

4nx=2(n+1)

x=(n+1)/2n

n=2のときx=3/4

n→∞のとき、x→1/2、すなわち、上面の中央に近づく

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n=2のときは一致

n=1のときはx=1となって

 立方体[0,1]^3の原点から最も遠い点は(1,1,1)であるは正しいことが確認された。

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さらにクヌースの問題

[Q]直方体の表面上で最も遠い2点はどこか

[A](x,x,0)-(1-x,1-x,2)とすると

(1-2x)^2+3^2=(2-2x)^3+(2+2x)^2=8+8x^2

4x^2-4x+10=8+8x^2

2x^2+2x-1=0,x=(√3-1)/2

(8+8x^2)^1/2=3.0119422

底面の中心(1/2,1/2,0)-上面の中心(1/2,1/2,2)の距離は3であり、3.0119422よりわずかに短い。

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立方体をn個重ねた直方体(1x1xn)の場合のクヌースの問題

[Q]直方体の表面上で最も遠い2点はどこか

[A](x,x,0)-(1-x,1-x,n)とすると

(1-2x)^2+(n+1)^2=(2-2x)^2+(n+2x)^2

2x^2+(2n-2)+(1-n)=0

x={-(n-1)+√(n^2-1)})/2

n→∞のとき、x→1/2、すなわち、上面の中央に近づく

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n=1のときはx=0となって

 立方体[0,1]^3の原点から最も遠い点は(1,1,1)であるは正しいことが確認された。

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