■階乗からガンマ関数へ(その80)

(4)ベータ関数

 ベータ関数(オイラーの第1種積分)は,

  B(a,b)=∫(0,1)t^(a-1)(1-t)^(b-1)dt t0-1

によって定義されます.

 ここで,積分変数をtからu=(1-t)/tによってuに変えると,

  B(a,b)=∫(0,∞)u^(a-1)/(1+u)^(a+b)du u 0−∞

が得られます.

 ベータ関数とガンマ関数との間には

  B(a,b)=Γ(a)Γ(b)/Γ(a+b)

の関係がありますから,ベータ関数はガンマ関数の兄弟分にあたります.

  Γ(1/2)=√π

を得るにはベータ関数が用いられます.この関数において,t=sin^2θとおくと,dt=2sinθcosθdθですから

  B(a,b)=∫(0,1)t^(a-1)(1-t)^(b-1)dt=2∫(0,π/2)sin^(2a-1)θcos^(2b-1)θdθ

 ここで,a=1/2,b=1/2とすると

  B(1/2,1/2)=2∫(0,π/2)dθ=π

  Γ^2(1/2)/Γ(1)=π

Γ(1)=1であるからΓ(1/2)=√πとなります.

 上式を一般化すると,

  ∫(a-b)(x-a)^m(b-x)^ndx=m!n!/(m+n+1)!(b-a)^(m+n+1)

が得られます.これらは受験参考書に必ず書いてある

  ∫(a-b)(x-a)(x-b)dx=-1/6(b-a)^3

  ∫(a-b)(x-a)(x-b)^2 dx=1/12(b-a)^4

という公式の一般化になっています.

 また,ジガンマ関数・トリガンマ関数との関係で,公式集にも収録されていないものの,応用上とくに重要な積分公式を次に示しておきます.

1/Γ(a)*∫(0,∞)logt*t^(a-1)exp(-t)dt=φ(a)

1/Γ(a)*∫(0,∞)(logt)^2*t^(a-1)exp(-t)dt=φ(a)^2+φ'(a)

1/B(a,b)*∫(0,1)logt*t^(a-1)(1-t)^(b-1)dt=-φ(a)+φ(a+b)

1/B(a,b)*∫(0,1)(logt)^2*t^(a-1)(1-t)^(b-1)dt={-φ(a)+φ(a+b)}^2+φ'(a)-φ'(a+b)

1/B(a,b)*∫(0,∞)logt*t^(a-1)/(1+t)^(a+b)dt=φ(a)-φ(b)

1/B(a,b)*∫(0,∞)(logt)^2*t^(a-1)/(1+t)^(a+b)dt={φ(a)-φ(b)}^2+φ'(a)+φ'(b)

∫(0,∞)logt*t^(a-1)exp(-t)dt=Γ'(a)

∫(0,∞)(logt)^n*t^(a-1)exp(-t)dt=Γ(n)(a)

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