■階乗からガンマ関数へ(その76)

【2】ベータ関数族と3の分割

 ベータ関数族は,自然科学や工学の諸分野(とくに確率分布)で用いられる特殊関数です.これらの関数の有限体における類似物はヤコビ和,ガウス和と呼ばれ,整数論において重要な役割を果たしています.

 ベータ関数,ガンマ関数,ガウス積分を列挙すれば

  B(a,b)=∫(0,1)t^(a-1)(1-t)^(b-1)dt

  Γ(a)=∫(0,∞)t^(a-1)exp(-t)dt x>0

  ∫(-∞,∞)exp(-x^2)dx=√π

となりますが,ベータ関数は2個のベキ関数の積を被積分関数にもち,ガンマ関数では(1-t)^(b-1)がexp(-t)に変わり,さらにガウス積分ではt^(a-1)もなくなり,指数関数の引数が2次式に変わっています.

 ベータ関数から極限操作

  (1−εt)^1/ε→exp(−t)   ε→0

によってガンマ関数を得ることができ,さらにガンマ関数からガウス積分も得られるのです.そして,ベータ関数,ガンマ関数,ガウス積分にはそれぞれ3の分割1+1+1,2+1,3が対応しているのですが,ベータ関数族の背後に3の分割が隠れているというわけです.

関数       分割      分割の長さ  パラメータ数

ベータ   (1,1,1)      3       2 

ガンマ   (2,1)        2       1

ガウス   (3)          1       0

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