■階乗からガンマ関数へ(その29)

【4】レムニスケート積分の加法定理

u=F(x)=∫(0,x) 1/(1-t^4)^(1/2)dt

F(x)の逆関数であるレムニスケートサインsl(u)も周期4ωをもちます.1751年,オイラーは正弦関数の加法定理

  F(x)+F(y)= F(x(1-y^2)^1/2+y(1-x^2)^1/2)

との類比に基づいて,レムニスケート積分に対する加法定理

  F(x)+F(y)= F((x(1-x^4)^1/2+y(1-x^4^1/2))/(1+x^2y^2))

   2F(x)= F(2x(1-x^4)^1/2/(1+x^2y^2))

を構成することに成功しています.

円積分では

 x=sinu,f'(u)=dx/du=1/du/dx=(1-x^2)^1/2=y=cosu=(sinu)’

より,x,yはともにパラメータuの関数になりましたが,レムニスケート積分でもx=sl(u),y=sl'(u)によって,楕円曲線:y^2=1-x^4をパラメータ表示できます.楕円曲線はフェルマー予想の解決で注目された曲線で,楕円関数でパラメトライズされる曲線です.

その結果,レムニスケートサインの加法定理は

  sl(u+v)=(sl(u)sl'(v)+sl(v)sl'(u))/(1+sl^2(u)sl^2(v))

  sl(2u)=2sl(u)sl'(u)/(1+sl^4(u))

  sl'(u)=(1-sl^4(u))^1/2

  sl(2u)=2sl(u)(1-sl^4(u))^1/2/(1+sl^4(u))=2x(1-x^4)^1/2/(1+x^4)

sl'(2u)=(1-sl^4(2u))^1/2

レムニスケートサインとその導関数が正弦関数とその導関数である余弦関数にいかに類似しているかわかるでしょう.2x(1-x^4)^1/2/(1+x^4)もxから四則演算および平方根により得られますので,円同様,レムニスケートも定規とコンパスだけで弧長を2倍にする作図が可能であることを示しています.

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