■超幾何関数とその歴史展望(その13)

[補]q-超幾何関数

 q-2項級数は

  (az;q)∞/(z;q)∞=Σ(a;q)m/(q;q)m・z^m

ガンマ関数(階乗の一般化),ガウスの超幾何関数(2項級数の一般化)のqアナログも同様に与えることができて,

  q-ガンマ関数:Γq(x)=(q;q)∞/(q^x;q)∞(1-q)^(1-x)

  q-超幾何関数:2φ1(a,b,c:q,x)=Σ(a;q)m(b;q)n/(c;q)m(q;q)m・x^m

と定義される.

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 q-超幾何関数はハイネの超幾何関数2φ1とも呼称される.

  2φ1(a,b,c:q,x)=1+(1-q^a)(1-q^b)/(1-q)(1-q^c)・x+(1-q^a)(1-q^a+1)(1-q^b)(1-q^b+1)/(1-q)(1-q^2)(1-q^c)(1-q^c+1)・x^2+・・・

 q→1のとき,

  (1−q^n)/(1−q)→n

となることから

  2φ1(a,b,c:q,x)→2F1(a,b,c:x)

 ガウスの超幾何関数2F1は超幾何微分方程式

  x(1-x)d^2y/dx^2+{γ-(α+β+1)x}dy/dx-αβy=0

を満たすが,ハイネの級数は微分方程式を満たさず,そのかわりにq-超幾何関数2φ1は類似の2階差分方程式をみたす.

 a,b,qの特殊な値に対して,ハイネの級数はヤコビのテータ級数を表すことから,ガウスの級数が三角関数に対してもったのと同様の関係式をハイネの級数は楕円関数に対してもつことになる.

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