■超幾何関数とその歴史展望(その11)
【6】竹内の数論的(双曲的)三角群
代数的数αに対してz=αでの超幾何関数の値が代数的になる場合,αを超幾何関数の特異モジュールと呼ぶことにします.ガウスの超幾何関数が代数関数となる場合はシュワルツの三角群からわかるのですが,モノドロミー群が有限群の場合,特異モジュールがひとつ存在すると仮定すると,シュワルツの定理より他のすべての代数的数も特異モジュールとなります.
一方,モノドロミー群が数論的(双曲的三角群)となる場合,対応する超幾何関数は超越関数で,ヴォルファルトの仕事から特異モジュールは無限個存在することがわかります.そして,モノドロミー群が数論的群となる場合の(α,β,γ)は竹内が調べた85組ですべてであることがわかっています(1977年).多すぎてここに掲げることはできませんが,竹内のリストは
吉田正章「私説超幾何関数」共立出版
などでみることができます.
また,シュワルツにおいても竹内においても,モノドロミー群が数論的でない無限群の場合は調べられていませんが,その場合,特異モジュールは有限個と予想されています.
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