■超幾何関数とその歴史展望(その9)
【3】超越関数の例(双曲的三角群)
まず,リーマンスキーム(λ,μ,ν)とガウスの微分方程式(α,β,γ)の対応を与えておきますが,3つの特異点のまわりでの局所的考察から,整数部分を除いた小数点以下の端数部分に関して,
頂点f(0)でλ=|1−γ|,
頂点f(1)でμ=|γ−α−β|,
頂点f(∞)でν=|β−α|
であることがわかります.
したがって,(α,β,γ)=(1/2,1/2,1)のとき,1−1=0=1/∞,1−1/2−1/2=0=1/∞,1/2−1/2=0=1/∞
より
(λ,μ,ν)=(1/∞,1/∞,1/∞) → Γ(2)
(α,β,γ)=(1/12,5/12,1)のとき,1−1=0=1/∞,1−1/12−5/12=1/2,1/12−5/12=−1/3
より
(λ,μ,ν)=(1/∞,1/2,1/3) → PSL(2,Z)
(α,β,γ)=(1/12,5/12,1/2)のとき,1−1/2=1/2,1/2−1/12−5/12=0=1/∞,1/12−5/12=−1/3
より
(λ,μ,ν)=(1/∞,1/2,1/3) → PSL(2,Z)
(α,β,γ)=(1/12,7/12,2/3)のとき,1−2/3=1/3,2/3−1/12−7/12=0=1/∞,1/12−7/12=−1/2
より
(λ,μ,ν)=(1/∞,1/2,1/3) → PSL(2,Z)
これらは双曲的三角群であって,シュワルツの三角群には含まれませんから,
2F1(1/12,5/12;1/2;x)
2F1(1/12,7/12;2/3;x)
などは超越関数となることがわかります.
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