■超幾何関数とその歴史展望(その6)
ガウスの超幾何関数
F(α,β,γ:x)=1+αβ/γx+1/2!α(α+1)β(β+1)/γ(γ+1)x^2+1/3!α(α+1)(α+2)β(β+1)(β+2)/γ(γ+1)(γ+2)x^3+・・・
が重要でありまた面白いと思われる点を列挙してみます.
まず
(1)多くの既知の関数がこの級数で表される
という事実があげられます.たとえば,指数関数,対数関数,三角関数,2項関数,ベッセル関数,直交多項式列,不完全ガンマ関数,指数積分,ガウスの誤差関数なども超幾何級数です.
ガウスの超幾何関数は,超幾何微分方程式
x(1-x)d^2y/dx^2+{γ-(α+β+1)x}dy/dx-αβy=0
で定義される1変数の超越関数です.この微分方程式の特異点についてx=0,1はこの微分方程式の確定特異点となるのですが,xを1/xに置き換えるとx=∞も確定特異点となることがわかります.
全平面で確定特異点だけを特異点とする方程式をフックス型というのですが,特異点の数が∞を含めて3つの場合,その確定特異点を0,1,∞に移したときに得られるのがガウスの超幾何微分方程式であり,その解が超幾何関数であるというわけです.
そしてまた,α,β,γを有理数としたとき,超幾何微分方程式はピカール・フックス型になります.このとき,代数曲線の周期積分との関係が明らかになり,リーマン面の一意化という魅力のある問題が提起されます.
これに対する解答として,ガウスの超幾何関数に対するシュワルツの有名な定理(1873年)
(2)モノドロミー群が有限群ならば超幾何関数は代数関数である
がでてくるのですが,その証明は球面(平面)を三角形で敷きつめることに帰着されるのでした
モノドロミーとは関数の多価性を測る尺度のことで,リーマンは超幾何微分方程式の場合を解決した(リーマン面の一意化)
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