■ランダムウォークの母関数と準超幾何関数(その2)

ランダムウォークの再帰性の問題を取り上げましょう.左右に1ステップだけ確率1/2で移動し、2nステップ後に原点に戻る1次元酔歩の原点復帰確率は,

  u2n=2nCn/2^(2n)

で与えられます.ここでu0=1,u2n+1=0とします.

  u0=1,u2=1/2,u4=3/8,u6=5/16,u8=35/128,u10=63/256,u12=231/1024,

  u14=429/2048,u16=6435/32768,u18=12155/65536,u20=46189/262144

 unの母関数を

  U(t)=Σunt^n

とおくと,u2n=2nCn/2^(2n)ですから,この級数の項比は

  u2(n+1)t^2(n+1)/u2nt^2n=(n+1/2)*t^2/(n+1)

これより,級数U(t)は超幾何級数1F0(1/2,t^2)であると同定され,

  U(t)=1F0(1/2,t^2)=(1−t^2)^(-1/2)

であることがわかります.

 2項展開からすぐにこの関数を思い浮かべることは困難と思われますが,超幾何関数であると仮定すると上のようにして導き出すことができます.

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一方、組み合わせ数(n/2,n)は、nが偶数ならば0であるから、その母関数は

G(x)=Σ(1,∞)(n/2,n)x^n=Σ(0,∞)(m+1/2,2m+1)x^(2m+1)=x/((x^2+4)^1/2

これら2個の関数の間には次の等式が成り立つ。

U(-1/y^2)=y/(y^2+1)^1/2=G(2y)

この対称性は超幾何関数のもつもっとも単純な例を与えているという…

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