■超幾何関数とゼータ関数(その7)
ζ(4)の積分表示は,ログサイン積分
ζ(4)=17/18∫(0,π/3)θ{log(2sin(θ/2))}^2dθ
であることが得られましたが,それではζ(3)の積分表示はどうなるのでしょうか?
2(arcsin(x))^2=Σ(2x)^2n/n^2(2n,n)
などの公式については,コラム「超幾何関数とゼータ関数」を参照して頂きたいのですが,x→−iyとおくと
2(arcsinh(y))^2=Σ(-1)^(n-1)(2y)^2n/n^2(2n,n)
が得られます.
したがって,
Σ(-1)^(n-1)/n^3(2n,n)=4∫(0,1/2)(arcsinh(y))^2/ydy
となるのですが,右辺に部分積分を施すことで,
Σ(-1)^(n-1)/n^3(2n,n)=-2∫(0,logφ^2)xlog(2sinh(x/2))dx
このように,ログシンハー積分となるのですが,ここで,
L3(1)=ζ(3)=5/4L3(φ^(-2))+2π^2/15logφ-2/3(logφ)^3
の結果を利用すると,
ζ(3)=Σ(-1)^(n-1)/n^3(2n,n)
を導くことができます.
以上のことより,ζ(3)の積分表示は,ログシンハー積分
ζ(3)=10∫(0,1/2)(arcsinht)^2/tdt=10∫(0,logφ)t^2cothtdt
=-5∫(0,logφ^2)xlog(2sinh(x/2))dx
で与えられることが理解されます.
結局,ポリログ関数の理論では,ζ(2),ζ(3),ζ(4)だけが
ζ(k)=R*Σ1/n^k(2n,n),ζ(k)=R*Σ(-1)^(n-1)/n^k(2n,n)
で表されることが確かめられているのですが,最後に,交代級数でない場合の結果
Σ1/n^3(2n,n)=4∫(0,1/2)(arcsin(y))^2/ydy
=-2∫(0,π/3)xlog(2sin(x/2))dx
も掲げておきます.
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